(ブルームバーグ):6月の米消費者物価指数(CPI)発表とのウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を控え、債券市場では7月の利上げ観測が一段と高まっている。これらのイベントが利上げの必要性を裏付けるとの見方が広がっているためだ。
利上げ期待の高まりは、金利オプション市場と米国債市場の双方で顕在化している。金利オプション市場では、今月中に0.25ポイントの利上げが実施されるとの市場予想の確率が10%未満から約50%に上昇した。一方、米国債市場では、連邦準備制度の政策金利の変化に長期債よりも敏感な米2年債利回りが14日も4.25%を上回って推移し、政策金利を上回る幅はさらに拡大した。
コロンビア・スレッドニードルのポートフォリオマネジャー、エド・アルフセイニー氏は、利上げの可能性は50%を超えるとみており、「7月の利上げは十分あり得る」と述べた。また、米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数の伸びは5月時点で前年同月比4.1%と、CPIよりやや低かったものの、「インフレ率を2%に徐々に戻すには、多少の幸運が必要になるだろう」と語った。
こうした動きは、FRB内で最近まで最もハト派的な当局者の1人とみられていたウォラー理事が、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数について「再び強い数字」が確認されれば、「近い時期」の利上げを検討すべきだと述べたことを受けて一段と加速した。
米労働統計局(BLS)が14日発表する6月のCPIは、ブルームバーグ調査の予想中央値で、総合・コアともに1月以来初めて前年同月比の伸び率が鈍化する見通しだ。5月時点では総合が4.2%、コアが2.9%だった。
それでも債券市場では、インフレ率を2%の当局目標へ押し戻すには、一段と高い政策金利が必要になるとの懸念が強まっている。原油相場は14日も上昇が続いた。米軍がイランの港湾や沿岸地域への出入りを再び封鎖する構えを示したことに加え、トランプ大統領が対イラン攻撃を継続する方針を表明したことが背景にある。
こうした市場の緊張は、連邦準備制度の政策運営の先行きについて予測を示すことを避けるウォーシュ議長の姿勢によって一段と高まっている。5月に就任したウォーシュ議長は金融政策報告を巡り、14、15両日に半期に一度の議会証言を行う予定だ。
短期金利市場では、米金融当局が年内に1回利上げし、2027年半ばまでにさらに1回利上げを行うとの見方が完全に織り込まれている。
しかし、アルフセイニー氏は、それでも十分ではないとの見方を示す。同氏は、連邦準備制度が昨年9-12月に労働市場の減速を受けて実施した0.25ポイントの利下げ3回分を、最終的に全て取り消す方向に動く可能性が高いとみている。
ウォーシュ議長は1日、ポルトガル・シントラで開かれた欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで、足元ではインフレリスクが後退していると強調したが、それ以降、こうした利上げ観測は一段と高まっている。
早期の米利上げを見込む取引が金利先物市場に流入しており、その影響でフェデラルファンド(FF)金利先物8月限の建玉は増加している。トレーダーが保有する建玉の数は7月に入り約23%増えた。建玉データは取引終了後に公表されるため、13日の取引動向を反映すればさらに増加する可能性がある。
市場では、6月のCPI総合指数が前月比で0.1%低下し、前年同月比の上昇率は3.8%に鈍化すると予想されている。一方、6月のコア指数は前月比0.2%上昇、前年同月比では2.8%上昇すると見込まれている。
もっとも、CPIが市場予想を下回る内容となっても、債券市場への安心材料は限定的となる可能性がある。米2年債利回りは今月に入り約10ベーシスポイント(bp、1bp=0,01%)上昇し、10年債利回りは約15bp上昇した。その結果、ブルームバーグ米国債指数で見た年初来のプラスリターンはほぼ失われた。
BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者、イアン・リンジェン氏はリポートで、「投資家は7月29日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合を、ウォーシュ議長による最初の利上げのタイミングとなる可能性がある機会として引き続き注視している」と指摘した。
リンジェン氏は、6月のCPIやウォーシュ議長の議会証言を受け、市場の7月利上げへの確信はやや後退すると予想している。ただ、ウォーシュ議長はフォワードガイダンスに否定的な姿勢を示しているため、こうした後退の幅は限定的になるとの見方を示した。
さらに同氏は、CPIが弱い内容となった場合でも、市場は7月利上げの可能性を一定程度織り込み続ける可能性があり、その可能性が十分に織り込まれていない状況でも、金融当局が利上げして投資家を驚かせる可能性があると指摘した。
原題:Fed Rate-Hike Bets Mount Before Inflation Data, Warsh Testimony(抜粋)
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