(ブルームバーグ):13日の日本市場では、円が対ドルで162円台前半に下落。片山さつき財務相の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を巡る発言に関して、政府はGPIFの基本資産構成割合の変更を想定していないと報じられ、国内資産回帰への期待が後退した。株式は反落、債券は中長期債が下落(利回りは上昇)した。
片山財務相は10日、GPIFなどの年金基金による日本の金融資産投資を後押しする考えを示した。これについて、ロイター通信は13日午後、政府はGPIFの基本資産構成割合の変更を現時点で想定していないと、政府関係者への取材を基に報じた。発言の主眼は「骨太ショック」の沈静化にあったといい、現行の乖離(かいり)許容幅の範囲内で投資強化を図るなど、有効な方策を探るとしている。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也シニア為替アナリストは、GPIFに関する報道で円が売られていると指摘した上で、先週の財務相の発言は口先介入の一環という印象だと述べた。現行の許容幅の範囲内なら、ゴールデンウイーク時の介入程度のインパクトしかなく、円安トレンドを止めるほどの措置ではないとの見方を示した。
中東情勢の悪化による投資家のリスク回避姿勢もドル高・円安につながった。米国は12日(日本時間13日朝)、イランに対する新たなミサイル攻撃を実施した。米国による攻撃は1週間で4回目で、両国は攻撃と報復を繰り返している。ホルムズ海峡が開放されているかどうかについても双方の見解が対立している。原油価格は13日の取引で急上昇した。
為替
円は対ドルで162円台前半に下落。中東情勢悪化による有事のドル買いに加え、政府がGPIFの資産構成割合の変更を想定していないとの報道を受けて下げ幅を拡大した。
SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストはリポートで、片山財務相の発言は現時点では日本国債と円のショート(売り)筋の不安をかき立てるための「口先介入」であり、「時間稼ぎ」にしかならないと指摘。財政健全化へのコミットがない限り「国債売りと円売りの流れそのものは変わらない公算が大きい」としていた。
株式
株式は下落。中東情勢の悪化が懸念されたほか、韓国株が半導体メモリー大手SKハイニックスの急落に引きずられて大幅安となったことが売りにつながった。AI・半導体関連株が売られた半面、銀行や小売りは上昇した。
SKハイニックスの株価は16%超下げた。市場関係者は、米国市場デビュー後の利益確定売りに加え、資金が米国預託証券(ADR)へシフトしたことが主な要因だと指摘した。韓国総合株価指数(KOSPI)は一時9%下落した。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、韓国株の下げを受けてリスク回避の動きが広がったと指摘。過熱感の解消は道半ばで、今週予定されている台湾積体電路製造(TSMC)やオランダのASMLホールディングの決算を前に警戒感もあると話した。
債券
債券は中長期債が下落。GPIFなどによる日本の金融資産投資への期待から上昇して始まったが、GPIFの国債投資拡大には懐疑的な見方も根強く、買いが続かなかった。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは「GPIFに関する報道により先物は下げ幅を拡大した」と語る。超長期債の上昇は、先週の「30年債入札が好調だったことを受けて、水準感から買われた」と言う。
14日の20年国債入札について、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の中谷寧宏債券ストラテジストは「やや低調か無難な結果」を見込む。政府の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」原案や原油高を受けて日本銀行の金融政策がインフレに対して後手に回るビハインド・ザ・カーブ懸念が高まっていることが逆風とリポートで指摘した。
新発国債利回り(午後3時時点)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:深瀬敦子.
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