(ブルームバーグ):構造上の懸念から7日に避難命令が出された米ニューヨーク市マンハッタン中心部の高層ビルについて、開発会社はオフィスビルから住宅への用途変更の際に増築した15フロアの改修を含む対応策を明らかにした。
開発会社メトロ・ロフトのネーサン・バーマン最高経営責任者(CEO)によると、東42丁目235番地にある同ビルでは、他の階より天井高が高い21階で2本の柱に荷重がかかりやすくなった。この2本は補強が十分ではなく、たわみが生じた結果、その上部に設けられた張り出し構造の15フロアの一部が沈んだ。
メトロ・ロフトは、該当フロアの外壁、床スラブ、鉄骨を交換する計画だ。
バーマン氏はインタビューで、「建物のその部分を再建する用意がある」と説明。「外壁を全面的に更新し、全体を水平に整え、真新しい状態にする」と語った。
米製薬大手ファイザーの旧本社だったこのビルの損傷は、オフィスビルを住宅へ転換する際の構造設計上の課題を浮き彫りにした。こうした用途変更は、ニューヨーク市の住宅不足解消策としてマムダニ市長ら行政当局や開発会社が推進している。安全性への懸念から7日には周辺地域で避難や道路閉鎖が実施され、通勤に支障が生じ住民は避難を余儀なくされた。
建設作業員は建物に仮設支柱を設置しており、市当局がビルは安定した状態にあると判断したことから道路は再開放された。一方、建築当局は緊急対応以外の工事を停止する一部工事停止命令を出している。
バーマン氏は、建物の支柱設置と安定化作業は1-2日以内に完了する見通しで、その後は市当局の指示を待つと説明。また、構造上の問題があるのは延べ床面積130万平方フィート(約12万平方メートル)のプロジェクト全体のうち約1万8000平方フィートにすぎないと強調した。
メトロ・ロフトは同ビルで1600戸超の住宅を整備する計画で、米国で進むオフィスから住宅への用途変更としては最大級となる。こうした事業では、広いオフィスフロアを窓や配管、エレベーターへのアクセスを備えた小規模な住戸に区切る必要があり、建築上の難しさを伴う。
業界専門家は、今回損傷した高層ビルでは、最終的により大規模な補修が必要になる可能性があると指摘する。
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の土木工学教授、ジェームズ・ラフェーブ氏は、「技術者は通常、荷重を実際より大きめに見積もり、部材の強度は控えめに見積もることで設計を単純化し、その結果として十分な安全余裕が確保される」と説明。「今回の柱で見られたような座屈を引き起こすには、想定から少し外れた程度では説明できない」と述べ、「かなり大きな要因があったということだ」と指摘した。
マムダニ市長は8日、市が現場で発生した問題について全面的な調査を実施すると表明した。一方で、この問題は必ずしも住宅への転用による結果であるとは限らないと指摘し、オフィスから住宅への転換プロジェクトは依然として住宅危機への対応策の一つとの認識を示した。
原題:NYC Tower Owner to Reconstruct 15 Floors to Fix Damaged Building(抜粋)
--取材協力:Marie Patino.
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