グリーンランドに対するトランプ米大統領の執着は、一段と強い要求となって北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で改めて表面化した。トランプ氏はイラン問題を巡って期待を裏切られたとして、欧州の同盟国を次々と批判している。

トランプ氏は8日、NATOのルッテ事務総長と並んで記者団に対し「グリーンランドを巡るNATOの対応には不満だ。最大のテロ支援国家であるイランへの対応でも、われわれを助けようとしなかったことは不満だ」と述べた。

さらに「グリーンランドは米国にとって極めて重要だが、デンマークにとっては重要ではない」と述べた。その上で第2次世界大戦中、デンマークがナチス・ドイツに占領された後、米国が世界最大の島であるグリーンランドを「掌握」した経緯について長々と語った。

「米国はグリーンランドを手に入れたが、愚かにも返還してしまった」と述べ、「返還すべきではなかった。必要としているのはわれわれだからだ。米国だけでなく世界を守るために必要であり、極めて重要だ」と主張した。

トランプ氏がデンマーク自治領グリーンランドの獲得を繰り返し訴えていることは、約5万6000人の島民やデンマーク政府を不安に陥れている。今年1月のダボス会議では、同氏の発言が欧州諸国に強い警戒感を与えた。

デンマークのフレデリクセン首相は8日、アンカラで「米国の立場は残念ながら極めて明確だが、われわれの立場も一貫している。グリーンランドは当然ながら売り物ではない」と記者団に述べた。

デンマークは数カ月にわたり、米政府と外交協議を重ねながらも、トランプ氏のグリーンランド獲得要求を和らげられていない。デンマークとグリーンランド、米国の高官は1月以降、作業部会で協議を続けており、年内の合意が見込まれるが、最終判断はトランプ氏に委ねられる。

グリーンランドでデンマーク軍の軍事作戦を指揮する統合北極司令部

米国はグリーンランドを統治したことはないが、かつては現在より大規模な軍事拠点を置いていた。防衛協定に基づき、米軍はデンマークとグリーンランドの協力の下で基地を運用している。

欧州の外交当局者はアンカラで、トランプ氏が今や欧州を敵対勢力とみなし、グリーンランド問題を口実に対立を深刻化する可能性が最も懸念されると述べた。

トランプ氏は「グリーンランドはわれわれにとって大きな問題だ」とし、過去に米国への参加をグリーンランドに持ちかけたものの受け入れられなかったと不満を述べた。

さらに「彼らはわれわれのために行動しなかった。一方で、われわれは彼らのために行動してきた」と話した。

原題:Trump’s Greenland Obsession Is Back: ‘Stupidly, We Gave it Back’(抜粋)

--取材協力:Daniel Basteiro、Sara Sjolin.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.