(ブルームバーグ):エネルギー海上輸送の要衝であるホルムズ海峡で7日、3隻の船舶が攻撃を受けた。船主の警戒感が強まるとともに、戦争終結に向けた米国とイランの暫定合意が試される展開となっている。
匿名を条件に語った複数の関係者によると、カタールの液化天然ガス(LNG)タンカー「アル・レカイヤット」が7日未明に攻撃を受けた。
また、サウジアラビアの原油タンカー1隻もホルムズ海峡を出る際に損傷を受けたと、別の関係者が明らかにした。詳細は分かっていない。
同地域に展開する海軍部隊は、特定されていないタンカー1隻に対する3件目の攻撃があったとする報告を公表した。これにより、7日は1日当たりの攻撃件数として、先月の米イランの暫定和平合意発効後で最多となった。海軍部隊は地域の脅威レベルを「Substantial」から「Severe」に引き上げた。
今回相次いだ攻撃は、軍の護衛下でオマーン沿岸寄りの航路を通っていても、ホルムズ海峡を通過する船舶が依然として重大なリスクに直面していることを改めて浮き彫りにする。
イランはこれまでも、自国の許可なく船舶が同海峡を通航することは認めないと繰り返し表明。7日には国連の海事機関で、同海峡の一部を管理する権利を有すると主張した。
西側諸国の海軍と商船との連携を担う共同海事情報センター(JMIC)は「一連の事案は、脅威環境が依然として厳しく、最大限の警戒が必要であることを示している」と指摘。
「とりわけ位置情報を発信する自動船舶識別装置(AIS)を稼働させている船舶を対象に、イスラム革命防衛隊(IRGC)による呼びかけや航路変更の圧力は続いている」と説明した。
7日には、少数の船舶がイラン側とオマーン側の双方の航路を利用してホルムズ海峡を通航した。ホルムズ海峡で緊張が高まったことで、原油先物は日中取引で一時3%余り上昇。欧州の天然ガス先物も約7%上昇した。
混乱なお解消せず
LNGタンカーが攻撃を受けたカタールは、紛争終結に向けた米国とイランの交渉で主要な仲介役を務めている。今回の攻撃は米イランの協議が微妙な局面にある中で発生した。
カタール外務省の報道官は、ガス運搬船に対する攻撃を非難するとともに、地域の安全保障を損なうあらゆる行為を停止するようイランに求めた。事情に詳しい関係者によると、カタール船の乗組員は船を放棄した。
サウジの原油タンカーへの攻撃も、原油相場の懸念を強める可能性がある。同国は紅海沿岸のヤンブー港から原油の一部を輸出できるものの、全面的な正常化にはホルムズ海峡経由での輸出が欠かせない。
船舶追跡データによると、サウジとカタールの船舶はいずれもトランスポンダー(船舶位置情報の送信装置)の電源を切った状態でホルムズ海峡を航行していた。これは周囲の注意を引かないようにするために一般的に取られる措置だ。
米イランの暫定合意後、船舶の通航量は改善しているものの、イランが承認していない航路での通航を断続的に阻止したり、船舶を攻撃したりしているため、依然として混乱や中断が続いている。6日には、商船三井が管理する船舶がイランの承認した航路に沿ってホルムズ海峡を通過したとみられている。
ただ、和平協議が続く中でも、ホルムズ海峡を管理する恒久的な解決策は依然として見えていない。
米国とイランの協議は、殺害された前最高指導者アリ・ハメネイ師の葬儀がテヘランで始まったことを受け、中断された。カタールは、葬儀日程の終了後、できる限り早期に次回協議を開催すると述べている。ハメネイ師は9日に故郷マシュハドで埋葬される予定だ。
原題:Hormuz Sees Biggest Day of Attacks Since US-Iran Peace Deal (2)(抜粋)
--取材協力:Jack Wittels、Sherif Tarek、Jon Herskovitz、Michael Heath、Courtney Subramanian、Sing Yee Ong.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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