ウォール街はスペースXのファンに事欠かない。しかしレイモンド・ジェームズのアナリスト、ブライアン・ゲスアーレ氏の強気度は極端かもしれない。

同氏は7日、スペースXの投資判断を「ストロングバイ」で開始し、目標株価を800ドルに設定した。これはウォール街で最も高く、7日の株価をおよそ430%上回る。同株がこの水準に到達すれば、時価総額は約10兆5000億ドル(約1700兆1600億円)に膨らみ、現在世界最大であるエヌビディア(約4兆7000億ドル)の2倍を超える。

スペースXの時価総額は現時点で2兆ドル弱。7日の市場で株価は大きく下げている。

スペースXについて解説するブルームバーグテレビジョン

ゲスアーレ氏は7日の顧客向けリポートで「スペースXは21世紀を代表する産業インフラ企業の一つと、当社は見ている」と指摘。「鉄道、電力網、インターネットが過去の経済時代を形作ったように、スペースXは次世代の産業能力を支える基盤を構築している」と述べた。

もっとも、この予測は極めて大胆な前提に基づいている。例えばスペースXの売上高は、昨年で190億ドルだったが、ゲスアーレ氏はこれが2035年には5兆2000億ドルへ急増すると予想している。さらにこの成長は知名度が高いロケット事業や通信事業ではなく、立ち上げたばかりのAI事業が原動力になるとの見方に基づいている。

同氏によると、AI事業の売上高は現在約160億ドルで、24年の30億ドルから大きく増加した。24年の時点では「AI関連事業の売上高はほぼ全て、Xから生み出され、主に広告やサブスクリプション、データライセンスによるものだった」という。レイモンド・ジェームズはこの売上高が31年には約6500億ドルへ拡大し、「27年以降はAIが売上高ベースで同社最大の事業となり、35年には売上高の約94%、すなわち4兆9000億ドルを占める」と予測している。

スペースXは事業モデルの重点を宇宙輸送から、計算能力(コンピューティング)の収益化にシフトすることで、こうした売上高目標を達成できるというのが、ゲスアーレ氏の見立てだ。

もっとも、こうした強気予想にはリスクが伴うことは、同氏も指摘している。スペースXが予期せぬ打ち上げ失敗に見舞われるシナリオでは、株価は新規株式公開(IPO)価格の135ドルを割り込み、125ドルまで下落する可能性があるという。打ち上げ失敗が起きれば、「軌道上AI、スターリンク・モバイル、さらにスターシップによって実現するインフラ拡張の進展ペースに懸念が高まる」と述べた。

原題:SpaceX’s Biggest Bull Sees Valuation Soaring Above $10 Trillion(抜粋)

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