米銀JPモルガン・チェースは、暗号資産(仮想通貨)に積極投資してきた米ストラテジーによる資金調達モデルの見直しが、ビットコイン市場の構図を揺さぶっていると指摘した。ビットコインの最大級の買い手が売り手にもなり得るというリスクをもたらし、投資家に新たな不確実性を加えたとしている。

JPモルガンは1日付のリポートで、ストラテジーが優先株の配当原資やバランスシート管理のため、ビットコインを選別的に売却する新たな方針を導入したことで、市場に「回避可能な」双方向のフローリスクが生じたと分析。多額の現金準備を維持すれば将来の売却リスクは低下するものの、ビットコイン保有分を換金せずに済むと投資家に確信させるには、2-3年分の配当支払いを賄える流動性が求められると指摘した。

ストラテジーはビットコイン市場で主要な需要源の一つであり、同社を率いる共同創業者のマイケル・セイラー会長が当初掲げた「買い持ち」戦略を修正した意味は特に大きい。JPモルガンによると、ストラテジーは今年、約82億ドル(約1兆3200億円)相当のビットコインを購入している。年初来では暗号資産への推定純流入額の約7割を占める。同社の保有分はビットコイン総供給量の約4.2%に相当する。

「同社のバリュエーションはビットコイン価格と切り離せない関係にある。暗号資産市場の不確実性やボラティリティーが高まれば、企業価値に下押し圧力がかかり、追加のビットコイン購入資金を賄うための株式・債券発行コストが上昇する可能性がある」と、同リポートを統括したマネジングディレクター、ニコラオス・パニギルツォグル氏は記した。同氏にコメントを求めたが、返答はない。

ストラテジーは6月29日、ビットコイン戦略を支える手法を大幅に見直すと発表した。長年にわたる積極的な買い増しを支えた構造に圧力が強まる中、暗号資産の売却や証券の買い戻し、流動性の確保をより柔軟に進める方針を示した。現金準備を22億5000万ドルに積み増し、売却対象とする12億5000万ドル相当のビットコインを含めれば、支払いに必要な資金を2年強分確保できると説明した。

ストラテジーにコメントを求めたが、直ちに返答はなかった。

セイラー氏は6月1日、同社が250万ドル相当のビットコイン32枚を売却したと開示し、暗号資産市場を動揺させた。この売却をきっかけに、ビットコインは1カ月にわたって下落し、昨年終盤に付けた過去最高値からの下げ率は50%余りに達した。

6月29日に資金調達モデルの見直しが発表されて以降、ストラテジーの普通株は持ち直し、20%前後上昇した。それでも、過去1年ではなお約75%下落している。

ストラテジーの「ストレッチ」優先株も持ち直した。ただ、追加のビットコイン購入資金を有利に調達するには、同優先株を額面100ドル以上で追加発行する必要がある。足元ではなおその水準を下回って推移している。年12%配当を支払う同優先株は2日、87.50ドル前後で取引された。

ビットコインは2日続伸。2日には一時3.4%高の6万2127ドルを付けた。その後は6万1000ドル台で推移している。米雇用者数の伸びが予想を下回ったため、連邦準備制度による早期利上げ観測が後退し、短期債利回りが低下。大半のリスク資産が上昇した。金利低下は通常、暗号資産などボラティリティーの高い資産の魅力を高める。

原題:JPMorgan Says Saylor’s Strategy Adds New Risk to Bitcoin Market(抜粋)

--取材協力:Isabelle Lee.

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