(ブルームバーグ):パナソニックホールディングスがAI関連銘柄として再評価されつつある。データセンター向けビジネスが堅調に推移する中、関連事業に5000億円規模を投資する計画を公表し、時価総額は初めて10兆円を超えた。楠見雄規社長は、AI分野の大手事業者との協力関係などを生かしつつ、市場変化のリスクには先手で対応するとの考えを示した。
楠見氏は6月30日の合同インタビューで、今後3年はAIが社会を大きく変えるフェーズに入ると見ており、商機を確実につかみ取る考えを示した。関連事業について「間接的ではあるけれども、AIによる変化を支えることができる」と述べた。
同社は生成AIモデル開発企業のように表舞台に立つ存在ではないが、サーバーに使う蓄電池や、電子部品、基板材料などAIインフラを支える製品を提供する。2029年3月期までの3年間で約5000億円を投資し、AIインフラ関連売上高で約1兆4000億円を目指す。
AIサーバーは画像処理半導体(GPU)の搭載などにより消費電力が大きく、同社の蓄電システムはピーク電力を抑制する役割を担う。
楠見氏は、AIデータセンターを運営する大手クラウド事業者(ハイパースケーラー)との設計段階からの協力関係が蓄電システムの競争力につながっているとの考えを示した。
一方で、環境変化への警戒感もある。楠見氏は、現在の競争優位が必ずしも将来も続くとは限らないと指摘。「変化というのは起きると思う」と述べ、リスクを見据えて今から対策を講じる必要があるとの考えを示した。
構造転換進む
これまで株価の重しとなってきた構造改革費用は一巡しつつある。米テスラ向け電気自動車(EV)電池の減産で苦戦していた拠点をAI向け電力システムの生産に転用するなど、事業構造の転換も進む。
ほかの総合電機企業に比べて、市場からの評価で出遅れてきた同社だったが、株価は上昇が続く。1日の取引では一時前日比5.4%高の4744円を付け、ブルームバーグでデータがさかのぼれる74年9月以来の最高値を更新した。6月30日終値ベースの27年3月期会社予想に基づく株価収益率(PER)は25倍程度。
もっとも、持続的にAI関連銘柄として評価されるには、さらなる事業ポートフォリオの見直しは欠かせない。岩井コスモ証券の清水範一アナリストは、足元のPERについて、AIインフラ需要への業績感応度が高い銘柄と比べれば、必ずしも高い水準ではないと指摘する。
パナソニックHDはAIインフラ関連だけでなく、家電や住宅関連、車載、ソフトウェアなど幅広い事業を抱えるため、半導体メモリーのキオクシアホールディングス、光通信部材のフジクラなどと比べ、評価倍率は付きにくい。
清水氏は、低収益の家電事業のスリム化に加え、2021年に買収した米サプライチェーン管理ソフトウエア会社ブルーヨンダーを収益成長につなげられるかも課題に挙げる。
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