(ブルームバーグ):韓国政府は29日、技術大国としての地位を固めるための野心的な計画を発表した。半導体やデータセンターの分野で、サムスン電子、SKハイニックスをはじめとする企業による1350兆ウォン(約142兆円)以上の投資を取りまとめる。AI時代を生き残るために不可欠なインフラを整備するため、巨額の投資を行う。
サムスンとSKは、韓国南西部に新たな半導体製造工場をそれぞれ2カ所建設する計画を明らかにした。投資総額は800兆ウォン(約84兆円)に上る。急増する需要を満たすため、生産能力を迅速に拡大することが狙い。金正官産業通商相によると、韓国はDRAM製造能力を向こう5年間で2倍に拡大することを目指す。
政府はさらに、2029年までに8.4ギガワットのAIデータセンター容量を構築するため、インターネット大手ネイバーを含む企業が550兆ウォンを投資することを明らかにした。
李在明大統領はこの日の発表イベントで、韓国は半導体とAIデータセンター、フィジカルAIで主導権を確保するため、世界の競合相手よりも速く動かなければならないと発言。同席したサムスンとSKハイニックスの首脳らを「国民的英雄」と呼んだ。「われわれは、まばたきする間にページがめくられる時代に入っている」と述べ、AIエコシステムを迅速に構築するための政府支援を約束。「生き残る唯一の道はスピードだ」と強調した。

韓国のテクノロジー投資規模は、AIに不可欠なメモリー半導体で優位を維持し、長期的な国家安全保障を確保したいという政府の意向を浮き彫りにしている。投資が継続されれば、経済にとっても大きな押し上げ要因となる。世界銀行のデータによると、想定される投資総額(約8800億ドル)は、韓国の24年国内総生産(GDP)の約5%に相当する。韓国総合株価指数(KOSPI)はこの日、一時3.4%下落したが、その後は下げ渋った。
26年について、サムスンはすでに生産能力の拡大と研究に700億ドル超を投じる計画を発表していた。ただ、これが長期にわたって続けば、累計額はマイクロソフトなどのハイパースケーラーや、5年間で約2兆元(約47兆円)規模の投資構想を策定している中国の予算に近づくことになる。
韓国経済新聞が発表に先立って伝えたところによれば、サムスンとSKによる投資額は10年間で最大2000兆ウォンに達する可能性がある。
サムスン電子の株価は5%近く下げ、SKハイニックスは1.7%安で終了した。AIによる旺盛なメモリー半導体需要は両社の株価を押し上げてきたが、競争が激化する中で利益の持続性を巡る疑問はなお残っている。

韓国は世界的なAIブームの最大の受益国の1つとなっているが、その恩恵が国内で均等に共有されていないとの懸念が高まっている。そうした中、ギャラップ・コリアの世論調査によると、李大統領の支持率は1年前の就任以降で最低水準に落ち込んだ。同調査では、経済運営やウォン安、住宅政策をめぐる李政権の対応への不満が高まっていることが示された。
世界2大メモリーメーカーであるサムスンとSKハイニックスは、需要に対応するため投資を加速してきた。サムスン電子の李在鎔会長はこの日のイベントで、ソウル首都圏でのファブ建設も加速する意向だと説明。「時間との競争だ」と語った。南西部の光州は新たなメモリー製造拠点として整備され、天安と温陽はHBMパッケージングの拠点になるという。同社はまた、慶尚北道の亀尾にあるファブでヒューマノイドロボットの導入に投資する計画だ。
シティグループはリポートで、韓国政府主導の大規模投資は、半導体製造装置分野を含む同国の半導体サプライチェーンの成長を押し上げる見込みだと指摘。「有望なAI需要の見通しと、グリーンフィールドでの能力増強計画の加速」に支えられた韓国の半導体製造装置関連銘柄について強気だとした。
原題:Samsung, SK to Spend $880 Billion to Drive Korea’s AI Lead (3)(抜粋)
(半導体投資計画の詳細やAIデータセンターへの投資を追加して更新します)
--取材協力:Shinhye Kang、Debby Wu、Denny Thomas、Seyoon Kim、Edwin Chan.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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