AI・半導体関連株の中で選別が進み、資金集中は次のフェーズに
6月25日の米国株式市場は、まちまちな展開だった。ダウ平均は一時まとまった幅で上昇する局面もあったが、最終的には前日比+0.14%にとどまった。この日はSOX指数がまとまった幅で上昇した一方、ナスダック指数が下落したことが特徴的だった。「ハイパースケーラーによる人工知能(AI)への投資や、その費用負担の行方に対する投資家の懸念」(ロイター)が背景にあるという。AI・半導体関連として一括りできない状況になってきた。これは、半導体の価格上昇に示されるように、半導体の供給側と需要側でパワーバランスが崩れてきたという面が大きそうだが、AI・半導体関連株に投資資金が集中してきた背景も重要である。これまでのAI・半導体関連株のブームは、経済ファンダメンタルズに対する見方が強気化することによって生じたとは言い難い。地政学リスクや経済ファンダメンタルズの不透明感が高まり、他に明確な投資先が乏しい中で、資金の逃避先としてAI・半導体関連株が選好されたというのが実態だろう。したがって、投資資金は実体経済から遠い方に向かいやすい。AI・半導体関連で言えば、景気変動の影響を受けやすいエンドユーザーに近いところ(BtoC)よりも、設備投資などより基礎的な需要(BtoB)が選好されやすいと考えられる。
これまでの投資資金の動きを振り返ると、①インフレ懸念から債券投資が敬遠されて株式市場に資金が向かいやすい展開となり、②経済の不透明感を背景に株式市場の中でもAI・半導体関連株に集中するようになった。そして、足元では③AI関連でも半導体の供給側に資金がさらに集中する動きが出てきた。重要なのは、投資対象が選別される中で、その対象が限定されていることである。一部の市場(銘柄)に資金が集中すると、値動きが極端になることが予想される。それぞれの投資主体にとっては、リスクを軽減しているという判断なのかもしれないが、その動きが市場全体のリスクをかえって高める方向に寄与していると言える(個々の合理的行動が全体として非合理になる「合成の誤謬」の状態)。
債券市場でインフレ加速は織り込み済み、タカ派観測は落ち着く方向へ
6月25日の米国債券市場は、インフレ予想(BEI)が小幅に反発し、実質金利が低下した。長期金利は前日差+0.0bp、2年金利は同▲2.3bpとなった。10年実質金利は前日差▲2.0bp、10年BEIは同+2.1bpであった。このところ、原油価格の下落とFRBのタカ派観測によってBEIが大幅に低下していたことから、その動きに修正が入った格好である。FF金利先物市場が織り込む26年中の利上げ回数は約1.35回となり、6月22日の約1.65回から低下してきた。この日に公表された5月のPCEデフレーター(前年同月比)は、総合指数もコア指数も伸び率が加速したが、市場予想と一致したことから、債券相場に与える影響は限定的だった。ある程度のインフレ加速は織り込み済みと言え、6月に原油価格が下落したことを考慮すれば、インフレ懸念が強まる可能性は低い。ウィリアムズNY連銀総裁はこの日、「『今後数四半期』において、物価を押し上げていた関税の影響が一段落するにつれ、インフレ圧力は緩和されるはずだと述べた」(ロイター)という。FRBのタカ派観測は徐々に弱まり、米金利は緩やかに低下していく公算である。