国内の地方銀行が相次ぎ普通社債(シニア債)を発行する。金利ある世界の復活で預金獲得競争にさらされる中、資金調達手段の多様化を進めている。

株式時価総額で地銀最大の横浜フィナンシャルグループは25日、初の120億円の発行条件を決定した。7月にはともに初となる滋賀銀行(200億円)としずおかフィナンシャルグループ(600億円)が続く構えだ。ブルームバーグの集計によると、地銀の普通社債の発行額はすでに2000年以来の高水準に達する見込みだ。

日銀は16日、政策金利を31年ぶり水準の1.0%程度に引き上げた

日本銀行は16日に政策金利を1.0%程度と31年ぶりの水準に引き上げた。都市銀行やネット銀行との預金獲得競争が激しくなり、預金で集めて貸し出すという地銀の伝統的なビジネスモデルにも変化の兆しが見え始めた。

みずほ証券の鈴木俊行シニアクレジットアナリストは「地方の若い世代が就職時にネット銀で口座を開設するなど預金の都市部集中が顕著で、獲得競争は激しくなっている」と指摘。金利ある世界で地銀の旺盛な融資ニーズを背景に「こうした市場調達の流れは続く」と述べた。

地銀はかつて一般事業資金の調達手段として普通社債を発行していたが、超低金利下で資金需要が乏しかったことから、発行は16年以降途絶えていた。一方、その間も続いた劣後債は自己資本規制への対応を目的とする資本性資金で、一般事業資金の調達とは性格が異なる。金利環境の変化を受け、貸出金の伸びが預金の伸びを上回る中、地銀は一般事業資金の調達手段として普通社債に再び目を向け始め、昨年12月にはひろぎんホールディングスが発行していた。

地銀の預金と貸出金のギャップはすでに顕著だ。全国地方銀行協会のサイトによると、加盟行の前期(26年3月期)末の貸出金は前の期に比べて4.6%(11兆円)増の269兆円と大きく伸びた一方、預金残高は1.9%(6兆円)増の348兆円で、貸し出しの伸びが預金を上回っている。

国際統一基準行には安定調達比率(NSFR)の規制も適用されるため、市場調達手段の多様化を進める要因の一つとなる。

地銀協の八木稔会長は17日の就任会見で、人口減少やネット銀行との競争を背景に「預金の伸びは鈍化している」と指摘。普通社債など預金以外の調達手段の活用も重要との認識を示し、地銀協として会員61行の資金調達戦略を好事例の共有を通じて支援する考えを示した。

横浜FG

横浜FGが発行する3年債の利率は1.826%、国債に対する上乗せ金利(スプレッド)は27ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に決定した。スプレッドの需要調査は27-30bpで開始し、レンジ下限で決まった。主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、大和証券、野村証券。

横浜FGの広報担当者は、継続的な発行について現時点で具体的な計画はないとした上で、起債環境や資金ニーズを踏まえて検討していく考えを示した。

主幹事によると、今回債には生命保険会社や投信投資顧問、信託銀行などを含む幅広い投資家が参加し、最終需要は発行額の約1.2倍となった。当初100億円程度を予定していた発行額は、旺盛な需要を受け120億円に増額した。

(第7、10、11段落に横浜FGのコメントや需要情報などを追加して更新します)

--取材協力:浦中大我.

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