(ブルームバーグ):メルツ独首相は4日、ウクライナの首都キーウを訪問し、兵器供与とエネルギー部門への支援として約13億5000万ユーロ(約2380億円)規模の支援策を発表した。訪問中にはロシアによるキーウへの攻撃に見舞われた。
ロシア政府が、現地にいる外国外交官は「死の危険」にさらされていると前日に警告していた中、メルツ首相は列車でキーウ入りした。首相によると、支援対象となるのは長距離兵器、戦闘用ドローン(無人機)、衛星技術など。さらに、ロシア軍から繰り返し攻撃を受けているウクライナのエネルギーインフラ修復に3億5000万ユーロを拠出する。
メルツ首相は「今日キーウを訪れたのは、今後数週間でウクライナにはわれわれのあらゆる支援が必要になるためだ」と述べた。また、ロシアのプーチン大統領を阻止しない限り、同氏が西側同盟を攻撃する可能性があるとも警告した。
「ロシアを止めなければ、いずれわれわれに攻撃が向けられる」とメルツ首相は話した。ウクライナのゼレンスキー大統領と会談したほか、前週にロシアのドローン攻撃で死者が出た国立科学アカデミーを訪問。訪問中には空襲警報が鳴り、視察が中断された。
ゼレンスキー大統領は「この困難な時期に、ドイツがわれわれを支えていることは重要だ」とSNSに投稿。両国は、ドイツ企業への防衛装備品の発注や、対航空機ドローンの生産を含む共同事業で合意しており、その規模は85億ユーロを超えると説明した。
5年目に入ったロシアのウクライナ全面侵攻は、ここ数週間で激しさを増している。冬が近づく中、双方がエネルギーインフラを標的としているほか、ロシア軍は橋やデータセンターなどへの攻撃を増やしている。
ウクライナは2日、ロシア最大級の製油所と、同国の原油パイプライン網の主要拠点を攻撃したと発表した。ロシア軍はその後、民間インフラを狙った一連のドローン攻撃として、キーウの主要な橋や首都近郊の物流センターを攻撃。4日には、キーウでドニプロ川に架かるピウニチニー橋(北橋)を再び攻撃した。
メルツ首相は記者団に「繰り返し伝えるしかない。プーチン氏、この無意味な戦争をやめてほしい」とし、「話し合いはできるが、銃声がやむことが先だ」と語った。
今回のキーウ訪問には、ライヒェ経済相と、防衛・エネルギー関連企業10社の幹部が同行した。参加企業には、エネルギー大手シーメンス・エナジー、防衛機器大手ヘンソルトのほか、防衛新興企業のヘルシングやARXロボティクスなどが含まれた。
メルツ首相は「われわれの協力関係は一方通行ではない」と述べ、「ドイツとウクライナの企業は、両国に利益をもたらす技術を共同開発している。これによってわれわれはより安全になり、より強くなる」と話した。
キール世界経済研究所によると、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降、ドイツはウクライナに500億ユーロを超える支援を提供しており、1150億ユーロ相当の米国に次ぐ2番目の規模となっている。
「ドイツの安全保障も、この戦争の行方にかかっている」とメルツ首相は述べ、「だからこそ、ドイツ自体の重要な利益のためにも支援している」と指摘した。
メルツ氏が首相としてキーウを訪問するのは今回が2度目。2025年5月の就任直後には、フランス大統領、英首相、ポーランド首相とともにキーウを訪れている。
原題:Merz Unveils €1.35 Billion Ukraine Aid on Surprise Visit to Kyiv(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.