高市早苗首相は5日、経済財政運営に関し、自らが実行する政策の内容を国内外の市場関係者に丁寧に説明する「正攻法」で日本政府への信頼を高めていく方針を示した。衆院本会議の所信表明演説で語った。

演説で、財政の持続可能性は、自らが掲げる「責任ある積極財政」を進める上での「当然の前提」だと指摘。債務残高対国内総生産(GDP)比を安定的に引き下げるとの目標の下、「通年の国債発行額を適切にコントロール」すると強調した。経済、物価、税収、金利、利払い費、市場の状況などを総合的に検証するとも述べた。

その上で、具体的な対応方法については言及しなかったものの、「経済や市場が想定と異なる動きを示した場合には、その影響を十分に分析し、必要な対応を機動的に講じる」とも述べた。

高市政権は財政運営目標の見直しや成長戦略の策定、複数年の予算確保を実現する投資枠の新設など、新たな取り組みを進めてきた。一方、2040年度までの370兆円超の官民投資、防衛力強化、消費減税などの財源は不透明なままで、財政拡張への市場の懸念は拭えていない。減税法案が焦点となる国会冒頭で市場の信認確保に配慮する姿勢を表明した形だ。

政府は年末にかけて、政権の政策の具体化に取り組む。年内に策定する5カ年間の「日本成長戦略実行計画」では、国の支援の内容、必要な予算額、国と民間の役割などを明示するとした。消費税減税の財源は「市場の信認を得られるよう、特例公債に頼らずに確保する」とし、「心配には及ばない」と強調した。

「新しい経済財政運営」

必要な政策や改革を先送りせず、強い経済と財政の持続可能性の両方を実現する、「新しい経済財政運営を始める」とも述べた。

高市内閣の最優先課題は「経済の力で国民の暮らしを守り、希望ある未来を切り開くことだ」とした。国内投資の促進、潜在成長率の向上、良質な雇用と所得の増加、消費マインドの改善、事業収益が上がり、税収が自然増に向かう、「国内総生産(GDP)拡大の下での好循環」を実現するとした。

一連の政策は「政府が単に歳出を増やすということではない」とも指摘。強い経済と財政の持続可能性の両方を実現する「新しい経済財政運営を始める」と述べた。

中国

外交面では昨年11月以降関係が悪化している中国については「重要な隣国」であり「戦略的互恵関係を包括的に推進する」との従来の立場を繰り返した。

一方で「東シナ海・南シナ海でのさまざまな問題、日本周辺における軍事活動、威圧的措置、邦人の安全、人権上の懸念」を挙げ、「主張すべきことは主張し、責任ある行動を強く求める」とした。同時に、共通課題について意思疎通し「建設的かつ安定的な関係を構築する」とも述べた。

11月には中国南部の深圳でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、12月には米国フロリダ州で20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が控える。両会議には習近平国家主席も参加する予定で、首脳外交が注目される。

他の発言

  • 年末をめどに「人口総合戦略」を策定、人口動態の将来シミュレーションと対応策の全体像を示す
  • 防衛関係施設周辺や国境離島の土地所有権の移転などに係る規制を創設
  • マネーローンダリング(資金洗浄)や経済安全保障への対応として、法人の実質的支配者情報の登録制度の導入を図る
  • 衆院議員定数削減の今国会での実現に向けた議論を期待

(詳細を追加し、更新しました)

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