製薬会社の猛反発と「がん資本主義」の行方

イスラエルのテルアビブにある「がん経済学センター」の創設者、ダニエル・ゴールドスタイン医師も、薬の投与量を減らす研究を進めてきました。彼は、薬の使用量を25%減らしても高い効果は維持され、アメリカ国内だけでも年間8億2500万ドルもの医療費を節約できると発表しました。

しかし、イスラエルでこの導入を試みると、猛烈な反発に遭い大問題に発展しました。製薬会社は低用量に関する研究や政策を嫌います。理由は単純で、投与量を減らせば収益が減るからです。過去20年でアメリカのがん治療薬の薬価の中央値は4倍になりましたが、価格が上がっているからといって患者の延命に繋がっている証拠はありません。

米国研究製薬工業協会は声明で「全生存期間を延長しない治療が臨床的有用性をもたらさないとする見方は不正確であり、症状のコントロールなど有意義な改善をもたらしている」と反論しています。しかし、価値が低く費用対効果の悪い薬に多額の資金が投入され、がん治療の分野全体で医療費が際限なく増大している現実は無視できません。

患者とその家族の穏やかな最期を支えるための努力は、今も世界中で続けられています。かつてのコーブン家と同じような状況に置かれた患者とその家族が、医療システムや製薬業界の論理に流されることなく、より良い判断ができる未来が切に望まれています。