インド発の希望~低用量治療が救う命と医療費の問題
アメリカではがん治療費のほとんどを民間保険や公的制度がカバーしますが、インドのような国では年間数万ドルもの治療費を払えない患者が大多数を占めます。2024年、ヘマント・シャンパネカルさんは口内にがんが見つかりましたが、貧しさゆえに治療費が払えず、9ヶ月間も腫瘍を放置していました。

そこで彼の主治医は、薬代を免除した上で、推奨用量の6分の1という超低用量での治療を試みました。すると、1回目の投与から痛みが減り、最終的に腫瘍は80%縮小し、残りを摘出する手術も成功したのです。

インドのタタ・メモリアル・センター病院に勤務し、毎年5万人の新規がん患者を診ているクマール・プラバシュ医師も、同様のジレンマを抱えていました。非常に優れた免疫療法薬があっても、全量を受けられる患者はわずか3~4%にすぎません。そこで彼のチームは、第I相試験で効果が確認できた「最低用量」を標準治療に加えました。その結果、約60%の患者が治療を受けられるようになり、1年後の生存率が2倍以上に向上したのです。がん患者の3分の2は発展途上国にいます。投与量を減らせば数十億ドルを節約でき、世界中の何十万人もの人々に恩恵をもたらす可能性があります。
