(ブルームバーグ):トランプ米大統領は23日、和平協議の一環として、制裁を解除される見込みのイランの凍結資産について、米国からの食料と医療用品購入にのみ充てられると述べた。和平交渉を巡る懸念を和らげる狙いがあるとみられる。
だが、トランプ氏の発言に対してイランは直ちに反論した。協議における重要事項を巡り双方の主張が食い違う事例が続いており、査察の扱いも双方の言い分が対立する問題となっている。
先週の合意内容を巡る応酬が続く中で、今回の戦争での米国の対応に対し国内で批判が高まっている。
共和党が主導する米上院は23日、米国の対イラン戦争を終結させる決議を可決した。トランプ氏に対する異例の象徴的な反発となる。この決議が政権の戦略に何らかの変更を強いる可能性は低いものの、大統領の取り組みが国内で十分な支持を得ていないことを示すものとなった。
これを受けて、トランプ氏は「タイミングを逸した無意味な戦争権限法の採決」だとソーシャルメディアに投稿。すでにイランは完全に追い詰められて「崩壊寸前」であり、「事実上何でも差し出す用意がある」との見方を示した。
一方、イランとオマーンは、ホルムズ海峡の将来的な管理体制について協議を始めることで合意した。ホルムズ海峡の通航料も議題となる。
また、位置情報を発信したままホルムズ海峡を通過する船舶が増えており、船主やトレーダーの間で安全性への信頼感が高まっているとみられる。
原油価格は下落し、北海ブレント先物は1バレル=77ドルを下回る水準で推移した。4月下旬に付けた約125ドルの高値から下落し、戦争前の水準に近づいている。

ベッセント米財務長官はニューヨークでの講演で、協議は段階を踏んで進むとの見方を示した。また米国はイランに対し包括的な合意を望んでいると伝えており、条件付きかつ成果重視の交渉を行っていると説明した上で、「われわれはアメを提示する一方でムチもある」と述べた。
トランプ氏は、「米財務省が解除する資金、制裁措置の対象資産は米国が管理するエスクロー口座に入れられ、その資金は米国からの食料・医療用品の購入にのみ使用される」と投稿した。また核問題に関して、「イランが将来にわたり最高水準の核査察」を受け入れることで合意したとも付け加えた。
一方、イラン外務省のバガエイ報道官はこれらの主張を速やかに否定した。資金は米国産品の購入に限定されず、自国が「適切と判断する方法で自由に」使用できると主張。また、国際原子力機関(IAEA)による新たな査察計画もないと述べた。
記者団からバガエイ氏の発言について問われたトランプ氏は、「彼らが間違っている」と反論した。「彼らは自分たちが間違っていると分かっている。彼らは非公開の場でわれわれにそう伝えており、その内容は記録されている。100%の査察だ。もし彼らの言う通りなら、今すぐ会談を打ち切る」と語った。
防戦に回るトランプ氏
トランプ氏の発言は、今回の合意が共和党内の強硬派を含む各方面から批判を受ける中で、防戦に回っていることを浮き彫りにしている。中西部や南部を中心とする米国の農家は、トランプ氏と共和党の重要な支持基盤で、11月の中間選挙を前に支持を固めたいとの思惑が背景にある。
対イラン強硬派は、解除された資金が軍備再建やヒズボラなどの武装組織への支援継続に充てられることを懸念している。
イランは凍結資金120億ドル(約1兆9390億円)が和平協議の一環として、2回に分けて同額ずつ解除される見通しだとしている。メヘル通信がガリババディ外務次官の発言として報じた。一方、米国側はイランが受け取る金額について、まだ確認していない。
トランプ氏は、協議は「順調に進んでいる」と述べ、交渉に関与する米イランの当事者による楽観的な発言に同調した。
だが、イスラエルとイランが支援するレバノンの武装組織ヒズボラとの戦争をはじめ、確実な合意の成立を阻む未解決の問題はなお数多く残る。イスラエル軍が現在もレバノン南部に駐留していることが合意違反に当たるとイラン側は主張しており、協議の行方に影を落としている。イラン当局者は、イスラエルによる停戦違反について米国にも責任があると述べている。
イスラエル大使館によると、米国が仲介するイスラエルとレバノンの第5回協議が23日にワシントンで開かれている。
ホルムズ海峡
ルビオ国務長官は、23日にアラブ首長国連邦(UAE)入りした。同氏は、クウェートとバーレーンも訪問する予定だ。イランと締結した暫定合意が、湾岸地域の同盟国にとって安全保障面でも経済面でも有益であることを説明し、安心感を与える狙いがある。
ただ、「開放」が具体的にどのような状態を意味するのかは依然として不明だ。イラン学生通信(ISNA)は23日、ホルムズ海峡は商業船舶の航行に対して「完全に」開放されており、ここ数日で大量の原油がこの要衝を通過したと報じた。トレーダーらは、原油や液化天然ガス(LNG)の輸送が正常化するまで数カ月かかる可能性があると警告している。一方で、短期的な供給が潤沢との見方が広がり、価格下落につながっている。
原題:Trump Defends Unfreezing Iran Funds as Senate Rebukes Him on War(抜粋)
(トランプ氏の投稿やベッセント氏の発言などを加えて更新します)
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