サッカーのモロッコ代表チームをワールドカップ(W杯)の強豪へと変貌させた立役者に対し、首相待望論が高まっている。

同国のサッカー連盟の会長を10年以上務め、2021年から予算担当特命相を務めるフウジー・レクジャー氏は、9月23日の議会選挙を前に、同国の主要2政党から党首就任を打診されている。

モロッコ議会の権限は限られているが、選挙は北アフリカの同国で世論を映す指標とみなされている。今年の選挙は25年のZ世代による抗議活動以降初めて。近年のスポーツ界での成功を象徴するレクジャー氏を擁立できれば、支持拡大の追い風となる。

国際サッカー連盟(FIFA)ランキングで、10年の95位から現在の6位へと躍進したモロッコは、次回のW杯をスペイン、ポルトガルと共催する予定。22年のカタール大会では、中東・アフリカの国として初めて準決勝に進出した。

「アトラス・ライオンズ」の愛称で知られるモロッコ代表は、米国、メキシコ、カナダで開催中のW杯でも好スタートを切り、決勝トーナメント進出に向けて有利な立場にある。優勝候補の一角であるブラジルと1対1で引き分け、スコットランドには1対0で勝利した。グループリーグ最終戦では、世界ランキング87位のハイチと対戦する。

レクジャー氏(55)の取り込みを図る「人民運動」のモハメド・ウジン党首は、地元メディアの取材に対し、同氏をモロッコの「国家的資産」と位置付け「どの政党も彼を迎え入れたいだろう」と語った。

対抗する「真正と現代党」のファティマ・ザフラ・マンスーリ党首もレクジャー氏について、「われわれの立場とほぼ一致している」と別の報道機関に語り、擁立に意欲を示した。

レクジャー氏は今月、ニュースサイト「Medias24」に対し、自身は無党派で、立候補する考えはないと語った。同氏と両党は、ブルームバーグのコメント要請に応じなかった。

モロッコは、国王モハメド6世が強い権限を持つ立憲君主制国家で、この10年ほどの間、イスラム穏健派勢力と経済重視の自由主義連立政権が交互に政権を担ってきた。

アハヌッシュ首相は国内有数の資産家・実業家の1人だが、再出馬しない意向を表明。自らが率いる「独立国民連合」で別の候補を支持している。21年の選挙で敗北したイスラム政党「正義発展党」は、政権復帰を狙っている。

サッカーは国民の誇りである一方、30年大会に向けたインフラ整備への巨額支出は、国内の緊張を高めている。

昨年9月から10月初旬にかけて、若者たちは11年の「アラブの春」以来最大規模となる抗議活動を展開。政策運営への不満や高失業率、深刻な社会的格差が背景にある。治安部隊との衝突でデモ参加者3人が死亡した。

原題:Morocco’s World Cup Czar Urged to Run for Premier in Fall Vote(抜粋)

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