米メタ・プラットフォームズは、インドのフィンテック・スタートアップ、クレドに9億ドル(約1450億円)を投資する。さらに、同社創業者のクナル・シャー氏を「ワッツアップ(WhatsApp)」の新責任者に起用する計画だ。

発表資料によると、今回の投資により、メタはクレド株を約20%保有する。クレドは、クレジットカード請求額を期日通りに支払った顧客に特典を付与するアプリを運営している。投資後の企業価値は45億ドルとなる。

人気の通信アプリ「ワッツアップ」は、ウィル・キャスカート氏が約7年にわたって率い、その間にユーザー数は2倍超に増えた。同氏はメタに残るが、人工知能(AI)ツールを活用して消費者向けアプリや製品を開発する新たな役割に就く。メタの広報担当者は、同氏が次に手掛けるプロジェクトの詳細について説明を控えた。

今回の投資は、世界最大級のメッセージングプラットフォームであるワッツアップにとって転機となる。同アプリは近年大きく成長し、2025年には月間ユーザー数が30億人を超えた。一方で、広告やサブスクリプション(定額課金)などの新たな事業分野の開発はなお初期段階にある。こうした収益源の構築に加え、AIエージェントをワッツアップに組み込む役割も、今後はシャー氏(47)が担うことになる。

シャー氏を起用したのは、メタのクリス・コックス最高製品責任者(CPO)だ。ワッツアップが既に広く浸透している国の起業家を探していた。メタ広報担当者が共有した発表資料によると、同CPOはシャー氏について「インドで最も尊敬される起業家の一人で、真剣に物事を考える人物であり、深く善良な人だ」と評した。シャー氏は現在、インド南部のベンガルール在住だが、カリフォルニア州に移り、メタ本社で勤務するという。

メタはこれまでも、投資と人材採用を組み合わせる手法で社内の主要幹部職を埋めてきた。昨年には、米スタートアップ企業、スケールAIに140億ドル超を投資し、創業者のアレクサンドル・ワン氏を採用。メタが新設したAI研究組織を率いる責任者に起用した。

メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、ブルームバーグに共有した投稿で「クナル氏はクレドをインドで最も重要なテクノロジー企業の一つに育てた。世界最大のメッセージングアプリを運営する上で役立つ、作り手としての考え方とグローバルな視点を備えている」と述べた。

インドで投資拡大

インドを最重要市場の一つとし、ワッツアップの主要拠点とも位置付けるメタは、ここ数年で数件の投資を行ってきた。20年には、ワッツアップ上での商取引拡大を支援する取り組みの一環として、インド通信大手のジオ・プラットフォームズに57億ドルを投資し、株式10%を取得した。今月には、インドで初となるAIデータセンターをリースする契約も発表した。

18年創業のクレドは、クレジットカード返済に関連した優待や特典を消費者に提供している。同社ウェブサイトによると、月間ユーザー数は1700万人で、アプリでは支出の分析や追跡もできる。昨年は、シンガポール政府投資公社(GIC)が主導したシリーズG資金調達ラウンドで7500万ドルを調達したと、IBSインテリジェンスが伝えた。

発表資料によると、メタは今回の投資でクレドに新規出資するとともに、クレドの既存投資家の一部から株式を取得する。

シャー氏はメタにフルタイムで加わり、クレドから退くが、株主としては残る。会社戦略を率いる幹部のミテン・サンパット氏が暫定CEOに就任し、取締役会は「将来的な新規株式公開(IPO)」を見据えて同社の経営体制を検討する方針だ。

クレドによると、メタは取締役会の議席を取得せず、クレドの顧客情報にもアクセスしない。

原題:Meta Invests $900 Million in Cred, Taps Founder to Head WhatsApp(抜粋)

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