日産自動車の定時株主総会が23日に横浜市内で開かれ、永井素夫社外取締役(72)の選任案が否決された。同社の主要取引行であるみずほ銀行出身で日産でも随一の実力者として知られた永井氏の再任を巡っては、大株主の仏ルノーが総会前に日産側に賛成せず棄権する意向を通告していた。

永井氏と同じくみずほ出身で、ルノーが棄権意向を示していた新任社外取締役候補の真保順一氏(65)については承認された。

永井氏は日本興業銀行(現みずほ銀)出身で2014年に社外監査役として日産に参画、19年に社外取に就任していた。監査委員長を務めるほか、同委と指名委員会、報酬委員会のすべてに所属する唯一の取締役として影響力を持つ陰の実力者として知られていた。

永井氏は昨年の総会では賛成率91.53%を確保していたが、今回はルノーの意向に加えて米議決権行使助言会社、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスが独立性に疑念があることを理由に取締役選任に反対を推奨していたことも影響したとみられる。

総会の議長を務めたイヴァン・エスピノーサ社長兼最高経営責任者(CEO)は採決の直前に永井氏の再任案のみ分離して採決することを表明。永井氏以外の11人の承認が決定した後、永井氏は否決された。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の吉田達生シニアアナリストは、長期在任の幹部が残っていると改革の妨げになりやすいことから、「本来はエスピノーサ体制に変わった昨年の時点で、経営不振を招いた責任をとって社外取締役も退任するべきだった」と述べた。

日産の広報担当者によると、取締役選任の賛否比率は24日に公表予定としている。日産の株価は23日、一時前日比3%安の307.9円と昨年7月以来の日中安値となった。年初来では約2割下落している。

横浜市の日産本社

国内上場企業では、主要取引行から社外取締役に招き入れるケースは日産以外でもあるものの、ガバナンス(企業統治)の観点から問題視する向きもあった。今回の事態を受けてこうした慣行にこれまで以上に厳しい視線が向けられる可能性もある。

BIの吉田氏は、日産とみずほは「時に利害が対立するときもあるが、もはや腐れ縁ともいえるほど長く、深い関係で容易にけんか別れできるものでもない」と述べた。ルノーとしても日産とみずほの関係を対立的にする狙いはないとの見方を示した。

ゴーン元会長復帰望む声も

この日の株主総会で承認された11人の取締役候補のうちヴァレリー・ランドン氏とティモシー・ライアン氏はルノーが指名した取締役となっている。

日産の業績悪化や株価低迷を背景に、総会ではエスピノーサ氏や永井氏などの一部取締役の選任に反対する株主らによる動議や不規則発言が相次いだ。株主の1人からは「劇薬」として日産の元会長で、金融商品取引法違反などの罪で起訴され保釈中にレバノンに逃亡したカルロス・ゴーン元会長を取締役として選任する提案も出された。

また、株主からは長期在任の社外取締役の責任を問う声も上がり、アンドリュー・ハウス指名委員会委員長は「中立性と独立性」を担保するため、上限期間を従来の8年から6年に短縮したと述べた。また、今期からは取締役が相互にそれぞれの貢献度を評価する仕組みを導入したという。

日産によると、今回の株主総会の所要時間は2時間30分で、3時間6分だった前年からは短縮した。

(識者のコメントや総会の状況を追加して更新します)

--取材協力:高橋ニコラス.

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