(ブルームバーグ):スターマー英首相の辞意表明を受け、マンチェスターの前市長で、先週の下院補選で勝利し国政復帰を果たしたアンディ・バーナム議員が、次期首相に就任する見通しが濃厚となった。与党労働党の他の有力候補らもバーナム氏への迅速な政権移行に支持を表明した。
今後波乱がなければ、バーナム氏(56)は過去10年で7人目の英首相に就任の運びとなる。スターマー氏が辞任圧力に屈したことで、数カ月前までは実現の可能性が低いと考えられていた首相官邸への道が突如開かれた。
労働党は7月9-16日に党首選の立候補を受け付け、対立候補が現れなければ、バーナム氏が同17日にも首相に就任する見通しだ。スターマー氏の辞意が伝えられたことを受け、バーナム氏は「この手続きを通じて立候補する。われわれ皆が望む姿に国を戻すため一致協力することが重要だ」とX(旧ツイッター)に投稿した。
同氏は首相就任後、財務相に誰を指名するか、総選挙を実施するか、現行の党のマニフェストを堅持するかを含め、重大な決断を迫られる。逼迫(ひっぱく)した財政状況、不安定な債券市場、トランプ米大統領やロシアのプーチン大統領が揺さぶりをかける西側同盟といった課題への取り組みも求められる。
「防衛費への圧力を考えれば、例外的にルールを外して検討すべきケースが確かに存在する」との過去の発言もあって、バーナム氏の次期首相就任の可能性を投資家は当初懸念し、国債指標銘柄の利回りは上昇した。最近はリーブス財務相が課した支出・借り入れの制約順守に力を注ぐと約束し、投資家の不安払拭(ふっしょく)に努めた。
財政ルール変更への市場の反応は、その内容だけでなく、タイミングや説明、財務相の人選に左右される可能性がある。協力者らによれば、バーナム氏はリーブス氏を再任する考えはないという。
次期財務相候補には、労働党の党首経験者で、スターマー政権でエネルギー安全保障・ネットゼロ相を務めるエド・ミリバンド氏やマフムード内相の起用が取り沙汰されている。

イングランド銀行(英中央銀行)の元チーフエコノミスト、アンディ・ホールデン氏のほか、ゴールドマン・サックス・グループの元エコノミストで、ブラジルとロシア、インド、中国4カ国の「BRICs」という総称を発案したジム・オニール氏や予算責任局(OBR)局長を務めたリチャード・ヒューズ氏が、バーナム氏に助言しているとブルームバーグが先週伝えた。
ロンドン時間22日午後4時40分(日本時間23日午前0時40分)時点で、英国の10年国債利回りは4.81%と5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。一時は4.86%に上昇していた。
党首選の主要なライバルと考えられていたストリーティング前保健相がバーナム氏を支持する声明を発表したことで、不確実性を長期化させる党首選実施の可能性が遠のいたと市場は好感した。
事情に詳しい関係者2人によると、バーナム氏の陣営は、党首選を現時点で想定していない。関係者の1人によれば、同氏の協力者らは、来月の政権移行に向け準備を加速させている。
下院補選での当選確定後の演説で、バーナム氏は自身の勝利をトランプ政権下の米国で目にする「さらなる暗黒と分断に向かう道」に対する勝利と位置付けた。「この国でそれが起きることを許さない」と同氏は強調した。
原題:Burnham Poised for Power in UK After Starmer Steps Aside (2)、The People Around Andy Burnham Who Could Shape UK Politics、(抜粋)
(財務相人事に関する情報などを追加して更新します)
--取材協力:Ellen Milligan、Alex Wickham、Jacob Reid.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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