22日のニューヨーク外国為替市場で、円はドルに対して乱高下した。片山さつき財務相が同日夜、ベッセント米財務長官とオンラインで会談を行ったと、NHKや日本経済新聞などが報じた。為替市場について話し合った可能性があるという。

早い時間の取引では、円は徐々に安値を切り下げ、ニューヨーク前営業日比0.4%安の1ドル=161円93銭まで下落。2024年7月に記録した161円95銭の安値に迫った。

その後はプラス圏とマイナス圏を行き来し、日米財務相が協議を行ったとの報道が伝わると、0.1%高の161円08銭を付けた。

三井住友信託銀行ニューヨークグローバルマーケッツ部の山本威調査役は、日米財務相会談の報道について「ドル・円が162円台に向けて上昇していた中で出たことや、日米連携をうかがわせる内容を踏まえると、背後に本邦通貨当局がいて、けん制をかけた可能性がある」と分析した。

その上で「イラン情勢は不透明感が根強いほか、米金融当局のタカ派姿勢もあり、再度162円を目指してドル・円がじりじり上がってもおかしくない」と指摘。「円安だけでなくドル高も背景にあるので、なかなか短期的に抑えるのは難しい」とみている。

片山財務相は22日、161円台の円安に関して、必要に応じていつでも適切に対応すると述べ、あらためて円安をけん制していた。

政府・日本銀行は4月28日から5月27日の間に、月次で過去最大規模となる約11兆7300億円の円買い介入を行ったが、円の反発は短期間にとどまった。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は反発。米・イラン和平合意の見通しを見極める展開の中で、ドルが買いを集めた。

ポンドは対ドルで0.1%高。ニューヨーク市場が始まる前は総じて下げていたが、持ち直した。スターマー英首相が辞任を発表したことで、政治的不透明感が和らぐとの見方が広がった。

米国株

米株式市場ではS&P500種株価指数が反落した。米・イラン和平協議が一定の進展を示しているとの楽観は広がったが、一部のテクノロジー銘柄の下げが重しとなった。

アルファベットが5%安で終了。人工知能(AI)分野の著名研究者が競合企業へ移籍する動きが続いていることが嫌気された。スペースXは16%安。これで3営業日続落。大規模な借り入れ拡大の第一歩として、初めて投資適格級社債の発行に乗り出すことが嫌気された。

債券利回りの上昇も市場センチメントを重くした。

UBSチーフ・インベストメント・オフィスのウルリケ・ホフマン・ブチャディ氏は、地政学的な情勢が当面は引き続きボラティリティーの主因となる公算が大きいとした上で、AI相場の持続性に対する投資家の信頼感の変化も相場変動をもたらす可能性があると指摘した。

スペースXによる社債発行は、AIブームをけん引する企業が進める大型資金調達の流れに加わるものだ。

ただ、ミラー・タバクのマット・メイリー氏は「最も懸念されるのは、ハイパースケーラー各社がAIに巨額の投資をしているにもかかわらず、そのリターンが依然として極めて低いことだ」と指摘。「企業同士が出資し合って互いの製品購入を約束する『循環投資』の問題も大きな懸念材料だ」と述べた。

一方、コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのティファニー・ウェイド氏は、AIインフラ投資が過去2年間を上回るペースで加速しているとし、テクノロジー株は少なくともあと数四半期は上昇が続くと、ブルームバーグテレビジョンで予想した。

米国債

米国債相場は下落(利回り上昇)。先週19日が祝日だったため現物債市場は休場だったが、欧州市場ではその間に利回りが上昇しており、それを織り込む動きとなった。

原油相場が下落する中でも利回りは上昇した。

この日の市場では、SOFR(担保付き翌日物調達金利)関連オプションを購入する動きが見られた。短期金利に現在織り込まれている米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測は行き過ぎとみて、その修正を見込む取引だ。

短期金融市場では年内に約45ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、0.25ポイントずつで2回弱の利上げが織り込まれている。

米国債オプション市場では、今後1週間程度の債券相場上昇を見込む大口の取引が散見された。10年債利回りが4.4%以下に低下した場合に利益を得られるポジションとなっている。

シタデル・セキュリティーズは、ウォーシュFRB議長のインフレ抑制への強い姿勢がFRBの信認を高めることにつながり、長期国債利回りの安定やタームプレミアムの低下を後押しする可能性があるとの見方を示した。

市場関係者の間では、FRBのコミュニケーション手法の変化によって金利変動率が高まり、債券保有に対するタームプレミアム(上乗せ利回り)が上昇するとの見方がある。

しかし、シタデルで欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の債券営業部門責任者を務めるノーシャド・シャー氏は、「データに応じてより積極的に政策金利を調整する中銀は、インフレの長期化や期待インフレ率の不安定化、あるいはより大きなマクロ経済上の事故が発生する可能性を低下させるはずだ」と指摘。

その結果、金利変動率は低下し、最終的には「信認の向上によってタームプレミアムは拡大ではなく縮小するはずだ」と述べた。

原油

原油相場は下落。米国とイランの和平協議に進展の兆しが見られ、対イラン石油制裁の一部適用除外も合意の一環に含まれる中、ペルシャ湾からの原油供給回復が続くとの期待が高まった。

米政府は、スイスでの協議が「建設的」だったことを理由に、イランが8月21日までエネルギー製品を販売することを認める包括的な60日間のライセンス(許可)を発給した。今回の措置はイラン経済にとって生命線となる可能性がある。過去1週間にイランからアジア向けに出荷された3000万バレル超の原油の販売円滑化にもつながる。

ホルムズ海峡を通過する原油輸送も増加している。ブルームバーグ集計の海運データによれば、週末には数百万バレルの原油が同海峡を通過した。イランはホルムズ海峡経由で輸出する原油量を戦争開始以来の高水準に引き上げ、中国向け原油価格を引き下げた。

スパルタ・コモディティーズのリサーチ責任者ニール・クロスビー氏は「ホルムズ海峡を通過する輸送量が、今後は原油供給や外交面での進展を映す指標として注目されるだろう」と指摘。「現時点で最も重要なのは、その流れが増加方向に向かっていることだ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の米ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物7月限は前営業日比2.3%安の1バレル=74.82ドルで終了。7月限はこの日が最終取引だった。中心限月である8月限は、1.99ドル(2.6%)安の73.86ドル。

北海ブレント先物8月限は2.67ドル(3.3%)下落の77.90ドルで取引を終えた。

金スポット相場は反発。米国とイランの協議進展を背景に、買いが強まった。アジア時間には一時1.6%上昇する場面もあった。

バンス米副大統領は、週末に行われたイランとの協議について「非常に良好だった」と述べた。イラン側も「大きな進展」があったと明らかにした。

金スポットは週間ベースで先週まで3週連続で下落しており、2月末の戦争開始以降では約20%値下がりしている。ホルムズ海峡がほぼ封鎖され、原油や天然ガスの輸送が滞りエネルギー価格が上昇したことで、インフレ抑制に向けて各国・地域中銀が利上げに動く可能性が高まった。利息を生まない金などの貴金属にとって、金利上昇は逆風となる。

ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、インフレに対してタカ派的な姿勢を示した。一方、今後の金利の方向性については明確なシグナルを発しなかった。25日には5月の米個人消費支出(PCE)価格指数が発表される予定だ。同指数は伸び加速が予想されている。

スポット価格はニューヨーク時間午後1時35分現在、前営業日比24.50ドル(0.6%)高の1オンス=4180.21ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は、43.20ドル(1%)安の4202.70ドルで引けた。

欧州

22日の欧州株は上昇。市場は米国とイランの協議にさらなる進展の兆候を探った。一方、仏高級ブランドのエルメス・インターナショナルは、アナリストが今後発表される上半期決算で収益性が打撃を受けると予想したことを受け、5.4%下落した。

ストックス欧州600指数は0.7%上昇。業種別では銀行株が上昇した一方、メディア関連銘柄は売られた。英国のスターマー首相が退任の意向を示し、元マンチェスター市長のアンディ・バーナム議員に後継争いへの道が開かれる中、英FTSE250指数は一時0.7%安まで下げたが、その後持ち直し、ほぼ変わらずで引けた。

欧州債市場では英国債が総じて上昇した。バーナム氏の最大の対抗馬とみられていたウェス・ストリーティング元保健相が、バーナム氏支持を表明したことで不透明感が払拭された。

英10年債利回りは約4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて4.81%。広く予想されていたスターマー氏の辞任表明直後の相場はほぼ変わらずだった。

ドイツ債はブルスティープ化の動きを広げた。中東の戦争による影響に対して、欧州中央銀行(ECB)がさらなる強力な対応を取る必要はないとの見解をラガルド総裁が示したことに反応し、利上げ観測が後退した。

スワップ動向が示唆するところによれば、ECBは年末までに計33bpの利上げが織り込まれている。先週は計37bpだった。

6月22日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

原題:Dollar Gains; Pound Ticks Up After Starmer Resigns: Inside G10(抜粋)

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