(ブルームバーグ):日本製鉄が10日、総額900億円の社債の発行条件を決めた。米鉄鋼大手USスチール買収完了後初の公募債で、10年債の利率は同社として過去30年間で最高となった。
日本製鉄は3本立てで起債し、このうち年限が最も長い10年債の利率は3.202%、スプレッド(国債上乗せ金利)は54ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に決まった。ブルームバーグの集計によると、同社の10年債として利率は1993年以来、スプレッドは98年以来の高水準だった。

5年債のスプレッドは47bpで、日本格付研究所 (JCR)の格付けがより低い住友金属鉱山が6月に起債した5年債の27bpを上回った。
日本製鉄にとって今回は、2025年6月に2兆円規模のUSスチール買収を完了してから初めての社債発行。多額の資金需要を伴う買収後の信用力に対する投資家の見方を測る試金石となった。
マニュライフ・インベストメント・マネジメントの押田俊輔クレジット調査部長は、日本企業が海外での成長を企業の合併・買収(M&A)などで訴求する際には事業リスクや財務リスクが高まり、発行体は「スプレッドのジレンマ」に直面すると指摘。半面、国内投資家にとっては「魅力的な機会の提供だ」と述べた。
日本製鉄は発行総額500億円程度で需要調査を開始し、需要を踏まえて最終的に900億円へ増額した。主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、野村証券、SMBC日興証券、大和証券、みずほ証券が務めた。
主幹事によると、最終需要は発行額と同じ程度だった。10年債の販売先は、生保、投信・投資顧問、系統上部、地銀、系統下部、その他諸法人だった。中央と地方の比率は販売ベースで中央が7割を占めた。
大和証券の大津大デット・キャピタルマーケット第3部担当部長は、中東情勢を巡る懸念や金利上昇を背景に慎重姿勢を示す投資家もいたと指摘。一方で、事業内容や合併・買収(M&A)による成長戦略など「日本製鉄のクレジットが評価され、幅広い投資家層を取り込み、900億円まで増額できた」と語った。
日本製鉄の広報担当者はブルームバーグの取材に対し、中東情勢の先行き不透明感などを背景にボラティリティの高い局面だったが、発行市場の需給状況を踏まえ適切な金利水準で条件決定することができたと話した。
(第7段落以降に販売先、主幹事や発行体コメントを追加して更新します)
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