運用資産180億ドル(約2兆8860億ドル)の米ヘッジファンド運用会社マグネター・キャピタルは、最新の運用商品で人間のアナリストを起用せず、代わりに数百の人工知能(AI)ボットを活用して株式調査を行う方針だ。

事情に詳しい複数の関係者はこのAI技術について、通常は多数の人間のアナリストが担う調査・分析の奥深さを再現することを目指していると説明。非公開情報を理由に匿名で語った関係者によれば、AIボットは投資対象全体から投資アイデアを探索し、株式を分析して推奨を行い、トレンドを予測する。最終的な売買判断は人間が下すという。

ヘッジファンド業界はAI技術を活用した人材の能力強化やその代替に取り組んでおり、年内の立ち上げが見込まれているこの運用商品は、最新の事例となる。従来、新たなファンドはボトムアップ方式で調査を掘り下げるアナリストのチームを擁して始動するのが一般的だった。

これに対しマグネターでは、人員は主にファンドのAIインフラに注力する。同社の担当者はコメントを控えた。

コーチュー・マネジメントの元ポートフォリオマネジャー、ラフル・キショア氏は今年、同様の取り組みに着手。キショア氏は、人間3人と「Eve(イブ)」と名付けられたAIボットが運用するファンドを立ち上げた。

ただ、市場平均を上回る運用成績の実現という、金融業界で最も達成が難しい目標の一つをAIがクリアできるかどうかについては判断が分かれている様子だ。最近行われた八つの主要最先端AIシステムによるコンテストでは、その大半が損失を計上した。

マグネターの新ファンドは、同社のAIクオンツ部門責任者で、基盤インフラを構築したトレバー・モトル氏が発案した。関係者によると、このファンドは弱気のポジションよりも強気のポジションを多く取り、買い持ち戦略に重点を置く。

また、ポートフォリオの一部では、競合他社よりも数ミリ秒早く市場シグナルを捉えることを目指す。AI技術によって「信号処理」と呼ばれる分析手法を大幅に強化できるという。この手法は有益な情報とノイズを切り分け、潜在的な価格パターンを特定するものだ。

関係者の話では、モトル氏が構築したAIインフラと技術は複雑で多額の資本を必要とする。同氏は数百万ドル規模の費用がかかる高性能のエヌビディア製サーバーを複数保有し、継続的に稼働させている。また、高度な「推論レイヤー」も開発した。これはオーケストラの指揮者のような役割を果たし、異なるAIエージェントに対して、特定のタスクをさまざまなタイミングで実行するよう指示するシステムだ。

テクノロジー企業が集積するカリフォルニア州メンロパークを拠点とするモトル氏は、フュージョン・ファンドで7年間勤務した経歴を持つ。それ以前には、ウォールアイ・キャピタルとラザード・アセット・マネジメントでAIポートフォリオマネジャーを務めた。さらにその前には、バリアズニー・アセット・マネジメントのロング・ショート株式戦略のリスク責任者を務めたほか、マン・グループでポートフォリオマネジャーを務めた。

新たなファンドはマグネター初のAI主導型運用商品となるが、同社は2024年に生成AI企業への投資に特化した初のベンチャーファンドを立ち上げている。マグネターは05年にアレック・リトウィッツ氏とロス・レーザー氏が設立。同社は主にオルタナティブ・クレジットに投資しているほか、株式投資や合併裁定取引、統計的裁定取引を手掛けるクオンツ運用部門も擁している。

原題:Magnetar Plans Fund That Replaces Human Analysts With AI Bots(抜粋)

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