(ブルームバーグ):米軍は9日、イランに対する「自衛」のためとして攻撃を開始した。オマーン沖で米陸軍ヘリコプターが撃墜されたことを巡り、トランプ大統領は数時間前にイランを非難していた。
米中央軍は「この作戦は、イランの不当な攻撃に対する相応の対応だ」とX(旧ツイッター)に投稿した。攻撃対象や攻撃場所については明らかにしなかった。
トランプ氏はここ数週間にわたり、和平合意の成立が近いと主張してきたが、今回の攻撃はそうした取り組みを揺るがしかねないものだ。
ABCニュースのジョナサン・カール記者は、イラン攻撃が発表された際にトランプ氏と電話で話していたと明らかにした。大統領はカール記者に対し、「これは昨夜、彼らがわれわれのヘリコプターに対して行ったことへの対応だ。これは非常に強力で、非常に大きなものであるべきだと考えている。そして今回の対応がそれだ」と語ったという。
イラン国営放送は、ホルムズ海峡のゲシュム島が攻撃を受け、少なくとも6回の爆発が発生したと報じた。
米軍の攻撃ヘリコプター「アパッチ」は、ホルムズ海峡上空でパトロール中に攻撃を受けたが、乗組員2人は救助された。AP通信は匿名の米政府当局者の話として、アパッチはイランの無人機との衝突後に墜落したと報じた。
イランは米軍ヘリの撃墜を認めていない。ただ、アラグチ外相は声明で、「わが国の領土近辺にいる外国軍は、人的ミスや単なる事故、あるいは交戦の巻き添えとなる可能性によって常に危険にさらされている」と述べた。
米中央軍は、今回の軍事行動について「自衛的攻撃」であり、「相応の」報復だという表現を用いて声明を出した。これは、軍事的エスカレーションの可能性を抑え、今回の事態が全面的な敵対行為への逆戻りだと受け止められることを避ける狙いがあったとみられる。
断続的な衝突や、レバノンでの戦闘、イランによる湾岸諸国への攻撃は発生しているものの、広範な停戦は4月8日以降、おおむね維持されてきた。
イランとイスラエルは弾道ミサイルの応酬を繰り広げて緊張が激化していたが、両国は8日、互いに対する攻撃を停止すると表明していた。トランプ氏は9日、今回の攻撃に先立ち、解決に向けた合意は近いと改めて主張していた。
事情に詳しい関係者によると、米国とイランの合意成立に向けた仲介努力は引き続き活発に行われている。
匿名を条件として語った関係者の1人によれば、パキスタン主導の仲介役と、対立する双方との間の協議は続いており、今週も継続される見通しだ。
トランプ氏の外交路線に、イスラエルは警戒感を強めている。イスラエルは交渉に参加しておらず、合意によって将来的にイランが脅威となる能力を維持することを懸念しているためだ。
イスラエルのオリット・ストローク国家特命相は、ガザ地区のイスラム組織ハマスやレバノンの親イラン武装組織ヒズボラに言及したうえで、「今回の対立の後、イランが自らの軍事力や代理勢力の戦力を立て直せないようにしなければならない」と述べた。また、イランが制裁緩和による大きな利益を得ないことへの期待も示した。
「それが起きないよう、われわれは可能な限りのことをしている」とストローク氏は語った。
ネタニヤフ首相は8日のテレビ演説で、当面はイランへの攻撃を控えるが、イランが再び攻撃した場合には対応すると述べた。これに先立ち、イスラエルのテレビ局N12は、レバノン南部への攻撃は全面的に継続されると報じた。
9日には、イスラエルはレバノン南部ティールの住民に対し、同地域での軍事作戦の可能性を前に避難を呼びかけた。軍高官は、イスラエルは再びイランを攻撃する準備ができていると警告した。
イランも、イスラエルに対する軍事作戦の終了を発表した。しかし、レバノン南部での攻撃も含めて、イスラエルが攻撃を続ける場合は、「以前よりはるかに厳しく壊滅的な行動が待ち受けている」と軍の中央司令部は警告した。準国営のファルス通信が声明を引用して報じた。
原題:US Forces Strike Iran After American Helicopter Is Downed (2)(抜粋)
(第5段落以降にゲシュム島での爆発音などの詳細を加えて更新します)
--取材協力:Devika Krishna Kumar、Eltaf Najafizada、John Harney.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.