(ブルームバーグ):米軍は9日、イランに対する「自衛攻撃」を実施し、完了したと発表した。オマーン沖で米陸軍ヘリコプターが撃墜されたことを巡り、トランプ大統領は数時間前にイランを非難していた。
米中央軍は、戦闘機から精密誘導兵器を用いて「ホルムズ海峡付近にあるイランの防空施設、地上管制施設、監視レーダー施設を攻撃した」と発表。作戦は完了したと明らかにした。イランのメヘル通信は、イラン南部バンダルアッバス地域のゲシュム島や南部沿岸で複数の爆発音が聞かれたと報じた。
中央軍は今回の作戦について、「米軍および国際商船の航行に対する最近の攻撃に対する、相応の対応」だと説明した。
トランプ氏はここ数週間にわたり、和平合意の成立が近いと主張してきたが、今回の攻撃はそうした取り組みを揺るがしかねないものだ。4月上旬に発効した停戦が不安定なものであることも、改めて浮き彫りとなった。
イラン軍統合司令部は、中東地域にある「複数の米軍基地」を標的にしたと発表した。国営イラン放送(IRIB)によると、革命防衛隊は10日、バーレーンにある米海軍第5艦隊を標的としたドローン(無人機)攻撃を実施した。さらに、ファルス通信とイラン国営テレビは、ヨルダンおよびクウェートにある米軍施設に対する攻撃も行ったと報じた。
イランのアラグチ外相はXへの投稿で、イランは「いかなる攻撃や脅威にも必ず対応する」と述べた。一方、米中央軍は「不当なイランの攻撃に対して防衛できるよう、引き続き警戒態勢を維持し、即応態勢を整えている」と表明した。
ABCニュースのジョナサン・カール記者は、イラン攻撃が発表された際にトランプ氏と電話で話していたと明らかにした。トランプ氏はカール記者に対し、「これは昨夜、彼らがわれわれのヘリコプターに対して行ったことへの対応だ。これは非常に強力で、非常に大きなものであるべきだと考えている。そして今回の対応がそれだ」と語ったという。
国営イラン放送は、南部ホルモズガーン州シリクの貯水タンク2基が攻撃され、地域の飲料水供給が停止したと伝えた。
米軍の攻撃ヘリコプター「アパッチ」は、ホルムズ海峡上空でパトロール中に攻撃を受けたが、乗組員2人は救助された。匿名を条件に語った米当局者によると、初期情報ではアパッチはイラン製ドローン「シャヘド」との衝突後に墜落したとみられ、中央軍はそれが意図的だったかどうかを調査している。
イランは米軍ヘリの撃墜を認めていない。ただ、アラグチ外相は声明で、「わが国の領土近辺にいる外国軍は、人的ミスや単なる事故、あるいは交戦の巻き添えとなる可能性によって常に危険にさらされている」と述べていた。
米イランの合意に向けた動きは継続
これまでトランプ氏は、紛争解決に向けた合意が近いとの主張を繰り返してきた。
イランとイスラエルは弾道ミサイルの応酬を繰り広げて緊張が激化していたが、両国は8日、互いに対する攻撃を停止すると表明していた。トランプ氏は9日、今回の攻撃に先立ち、解決に向けた合意は近いと改めて主張していた。
事情に詳しい関係者によると、米国とイランの合意成立に向けた仲介努力は引き続き活発に行われている。
匿名を条件として語った関係者の1人によれば、パキスタン主導の仲介役と、対立する双方との間の協議は続いており、今週も継続される見通しだ。
トランプ氏の外交路線に、イスラエルは警戒感を強めている。イスラエルは交渉に参加しておらず、合意によって将来的にイランが脅威となる能力を維持することを懸念しているためだ。
イスラエルのオリット・ストローク国家特命相は、ガザ地区のイスラム組織ハマスやレバノンの親イラン武装組織ヒズボラに言及したうえで、「今回の対立の後、イランが自らの軍事力や代理勢力の戦力を立て直せないようにしなければならない」と述べた。また、イランが制裁緩和による大きな利益を得ないことへの期待も示した。
「それが起きないよう、われわれは可能な限りのことをしている」とストローク氏は語った。
ネタニヤフ首相は8日のテレビ演説で、当面はイランへの攻撃を控えるが、イランが再び攻撃した場合には対応すると述べた。これに先立ち、イスラエルのテレビ局N12は、レバノン南部への攻撃は全面的に継続されると報じた。
9日には、イスラエルはレバノン南部ティールの住民に対し、同地域での軍事作戦の可能性を前に避難を呼びかけた。軍高官は、イスラエルは再びイランを攻撃する準備ができていると警告した。
イランも、イスラエルに対する軍事作戦の終了を発表した。しかし、レバノン南部での攻撃も含めて、イスラエルが攻撃を続ける場合は、「以前よりはるかに厳しく壊滅的な行動が待ち受けている」と軍の中央司令部は警告した。準国営のファルス通信が声明を引用して報じた。
原題:US Strikes Iran After Helicopter Downed, Testing Peace Talks(抜粋)
(第5段落以降にイランによる攻撃の詳細などを加えて更新します)
--取材協力:Devika Krishna Kumar、Eltaf Najafizada、John Harney、Derek Wallbank、Anthony Capaccio、Meghashyam Mali.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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