1-3月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、速報値から下方修正された。設備投資がマイナスに転じたことが主因。中東で混乱が生じる中でも回復基調は維持しており、日本銀行の利上げ路線を支える材料となる。

内閣府が8日発表した実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率1.8%増と、速報値の2.1%増から引き下げられた。プラス成長は2四半期連続。市場予想は1.4%増だった。前期比では0.5%増と横ばいで、市場予想(0.3%増)を上回った。

1日発表の法人企業統計を反映し、設備投資は前期比0.7%減と、速報値の0.3%増から下方改定。2期ぶりのマイナスとなった。内閣府によると、受注ソフトウエア、生産用機械、業務用機械が影響した。

東京都心の通勤風景

個人消費は0.3%増で横ばい。輸出(1.8%増)から輸入(0.4%増)を差し引いた外需寄与度はプラス0.3%と、速報値と変わらなかった。

1-3月の成長率は下方修正されたが、0%台後半とされる潜在成長率を上回り、景気は緩やかに回復しているという政府・日銀の認識に沿う内容だ。個人消費は5期連続、輸出は2期連続で増加した。今回の結果は、日銀が来週開催する金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの観測を後押ししそうだ。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、「内需がしっかりして、年初は成長のスタートを切ることができた」と指摘。その上で、日銀は中東情勢による景気悪化と物価を押し上げへの影響の両方をてんびんにかけると思うが、「今月は利上げをするということだと思う」との見方を示した。

日銀の植田和男総裁は3日、中東情勢が不透明な状況でも、経済の下振れリスクに比べ、物価の上振れリスクが高まると判断される場合には利上げの是非を議論する必要があるとし、早期実施に前向きな姿勢を示していた。重視する基調的な物価上昇率が2%に向けて徐々に高まる見通しが実現する確度が高まれば、適切なペースで利上げするとも語った。

複数の関係者によると、日銀は次回会合で政策金利を0.25ポイント引き上げ、1.0%とする方向で検討する。物価の上振れリスクが意識される中、年内に追加利上げの可能性もあるという。

翌日物金利スワップ(OIS)から算出した6月会合までの0.25ポイントの利上げ確率は約94%に達している。

住友生命保険の武藤弘明エコノミストは、中東情勢で企業が設備投資に慎重になる局面もあるとしながらも、「潜在成長率並みのペースは、十分維持する」とし、年間を通じて0.5%は上回ってくると予想。日銀の見通しから下振れているわけではないとし、6月会合に加え、年内に追加利上げの可能性があるとみている。

政府は5月の月例経済報告で、国内の景気判断を「緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある」との表現を3カ月連続で維持した。設備投資については「持ち直している」を2カ月連続維持している。4月の景気動向指数(一致指数、速報値)では、基調判断の「上方への局面変化」を維持した。

5日には歳出総額3兆円規模の2026年度補正予算が成立。政府はエネルギー価格高騰で打撃を受ける家計や企業を支援する。

他のポイント

  • 内閣府は1-3月期の実質GDP改定で横ばいとなった全体の「前期比」と「個人消費」について、それぞれ速報の0.51%増→0.45%増、0.27%増→0.35%増と説明した
  • 個人消費は飲食サービス、ゲームソフト、魚介類が増加に寄与。電気、固定通信サービス、パソコンが減少に寄与した

(エコノミストコメントと詳細を追加して更新しました。3段落目の内閣府の説明は訂正済みです)

--取材協力:野原良明、氏兼敬子.

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