8日の日本市場は株式が大幅安。日経平均株価は5月22日以来、約2週間ぶりの安値を付けた。予想を上回る雇用統計を材料に前週末の米国市場で利上げ観測が強まったほか、中東和平の行方も依然不透明で、リスク回避の売りがテクノロジー株中心に広がった。債券も長期ゾーン中心に下落(金利は上昇)し、円は対ドルで160円台前半でもみ合った。

5日に発表された5月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比17万2000人増と市場予想(8万8000人増)を大きく超過。連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測の高まりから米金利が上昇し、米株市場ではナスダック総合指数が4%超安、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が10%安と急落した。スワップ市場が織り込む米国の年内利上げ確率は100%以上となっている。

株式投資家の恐怖心理を示す米国のCBOEボラティリティー指数(VIX)は21台と4月上旬以来の水準に急上昇。日経平均ボラティリティー指数(日経平均VI)も一時4月以来の40に乗せた。

IGインターナショナルの市場アナリスト、ファビアン・イップ氏は「米国でAI関連銘柄への期待感がしぼむ中、その影響はアジアのAIインフラ関連企業にも広がっている」と述べた。日本株のほか、一時売買が停止されるなど韓国総合株価指数(KOSPI)も半導体のサムスン電子とSKハイニックス中心に8.3%安、台湾の加権指数も3.5%安と売り込まれた。

株式

業種別では人工知能(AI)関連銘柄を含むセクターの下げが目立ち、下落率上位は非鉄金属や電機、機械、化学、精密機器、情報・通信など。TOPIX構成銘柄のうち、値下がりは約1130と全体の7割弱が安い。売買代金上位ではソフトバンクグループやキオクシアホールディングス、村田製作所、東京エレクトロン、古河電気工業が軒並み大幅安。

半面、英紙フィナンシャル・タイムズで米バークシャー・ハサウェイとの提携が世界的成長につながるとの社長インタビューが報じられた東京海上ホールディングスなど保険株のほか、食料品や小売り、サービス、医薬品、陸運など内需・ディフェンシブセクターは上げた。

オルタス・アドバイザーズのアンドリュー・ジャクソン日本株式戦略責任者は、足元で上昇を支える材料を見通すには不確定要素が多く、判断が難しいと指摘。現金化して市場から距離を置き、相場が反発する適切なタイミングを見極めようとする投資家が多いとの見方を示した。

レバノンへの攻撃に警告を発する形でイランはイスラエルに向け複数回にわたりミサイルを発射。イスラエル国防軍もX(旧ツイッター)への投稿で、イラン西部・中部の軍事目標に攻撃を加えた。

債券

債券は下落し、長期、超長期ゾーン中心に金利の上昇が目立った。FRBによる年内利上げの可能性が濃厚になり、米債利回りが上昇した影響で終日売りが優勢だった。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、米金利の上昇に加え、直近の円安で日本銀行の追加利上げが一段と意識されている点も売りにつながったとみていた。利上げ観測と財政拡大など国内要因を踏まえると、「日本の方が相対的に金利上昇の上振れ余地が大きい」とし、月内に10年金利は2.8%を抜ける可能性があると予想した。

BNPパリバ・アセットマネジメントの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、中東情勢の緊迫化を受けた原油高の影響や10日に予定される30年利付国債の入札を巡り、最近入札後に投資家の買いが続かない点も警戒要因だと言う。北海ブレント原油先物はアジア時間8日の取引で一時5%超上げた。

また木村氏は、今週から来週にかけ主要中央銀行の金融政策決定会合が相次ぐ点に言及。11日の欧州中央銀行(ECB)会合で利上げの有無も含めタカ派寄りの発信が強い場合、次に日銀がどこまで踏み込んだメッセージを出せるのか、植田和男総裁の言い回しに注目が集まると言う。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円は対ドルで160円台前半で膠着感の強い展開が続いた。日本の通貨当局による介入への警戒感は根強い半面、米金利の上昇を受けたドル買い圧力が続き、安値圏で終日もみ合った。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、米国の利上げ観測が高まっており、ドル・円は高止まりするとした半面、160円70銭台を節目として介入警戒感もあり、ドルの上昇は限定的とみている。この日は、株式市場でハイテク株が急落し、リスクオフの円買いがドルの上値を抑えているとも分析した。

みずほ銀行国際為替部の長谷川久悟マーケット・エコノミストは、10日に発表予定の米消費者物価指数(CPI)、その後に日米欧の金融政策決定会合を控えており、中東情勢をにらみながら介入前の4月30日に付けた160円72銭を一気に試す展開にはならないと話していた。

午前8時50分に内閣府が発表した1-3月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、中東混迷を背景にした設備投資の減退が響き前期比年率1.8%増と速報値の2.1%増から下方修正されたが、市場予想の1.4%増よりは修正幅が限られた。ただし、相場への目立った影響は見られなかった。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:Anand Krishnamoorthy.

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