欧州中央銀行(ECB)は10-11日の政策委員会会合で0.25ポイントの利上げに踏み切る公算が大きい。イラン戦争によるインフレ圧力の高まりを背景に、主要中銀の中でいち早く追加引き締めに動く見通しだ。

オーストラリアやノルウェーなどではすでに利上げが行われているが、ECBの利上げは、これまでで最も注目度の高い政策変更となりそうだ。

ECBのラガルド総裁と理事会メンバーが現在の投資家の見方に異議を唱えない限り、金融政策はさらなる引き締め路線を維持し、年内に少なくともあと1回の利上げが見込まれている。

日本銀行も同様の道筋をたどるとの見方があるものの、政策金利水準ははるかに低い。一方、他の主要7カ国(G7)の中銀は現時点で借り入れコストを引き上げる姿勢をそれほど強めていない。

ECBの政策金利決定前日には、カナダ銀行(中央銀行)が昨年10月以来の水準に政策金利を据え置く可能性がある。また月内には、米連邦準備制度理事会(FRB)とイングランド銀行(英中銀)の双方が、イラン戦争の影響を見極めるため政策金利を据え置く公算が大きい。

トランプ米大統領によるイランへの攻撃をきっかけに生じたエネルギーショックを受け、欧州の政策当局者は2023年以来の高水準となっているユーロ圏のインフレ率が定着するのを防ごうとしている。

ただし、その代償として、もともと勢いの弱かった経済は一段と圧迫されることになる。政策当局がさらなる引き締めを続ければ、そのトレードオフは一層鮮明になる。

ECBは四半期経済見通しとともに、今回のショックが域内経済に及ぼすさまざまなシナリオも公表する。ラガルド総裁は会合後の記者会見でそれらを説明する予定だ。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のユーロ圏担当チーフエコノミスト、シモーナ・デッレキアイエ氏は「ラガルド総裁は、3月には今後の金利見通しを巡るメッセージが分かりにくかったが、今回はECBの次の一手について何らかの手掛かりを示す可能性がある。われわれは、追加利上げの可能性について、これまでより明確な説明がなされると予想している」と述べた。

また、米国や中国、インドでインフレ指標の発表が相次ぐ。戦争が世界経済や物価に及ぼす影響を見極める材料として注目されそうだ。

米CPI

米国では5月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大きく上回った。市場の関心は再びインフレに向かっており、10日に発表される5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.2%上昇と、3年超ぶりの高水準となる見込みだ。

食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比でやや鈍化するとみられており、FRB当局者にとって歓迎材料となる可能性がある。11日発表の生産者物価指数(PPI)は、イラン戦争がサプライチェーンに与えている影響についてさらなる手掛かりを提供する見込みだ。エコノミストは、月内に公表予定のFRBが重視する個人消費支出(PCE)価格指数に反映される項目に注目している。

米国ではそのほか、9日に5月の中古住宅販売件数、12日にミシガン大学の6月消費者マインド指数速報値が発表される。FRB当局者が発言を控えるブラックアウト期間は13日に始まり、ウォーシュ新議長による初の連邦公開市場委員会(FOMC)が6月16-17日に開催される。

原題:ECB Steps Up as G7’s Lead Hawk With Rate Hike Primed: Eco Week(抜粋)

--取材協力:Brian Fowler、Laura Dhillon Kane、Robert Jameson、Mark Evans、Piotr Skolimowski、Cecile Daurat、Paul Richardson.

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