日本銀行は今月の金融政策決定会合で政策金利を0.25ポイント引き上げ、1.0%とする方向で検討する。物価の上振れリスクが意識される中、年内に追加利上げの可能性もあるという。複数の関係者への取材で分かった。

関係者によると、中東情勢の緊迫化に伴う原油高などを背景に物価が上振れていくリスクは高い。一方でサプライチェーン(供給網)の寸断といった深刻な影響は回避されており、現段階では経済・物価は日銀が4月に示した見通しに沿って推移している。物価上昇が景気に悪影響を及ぼすリスクに対応する必要性が高まっている。

政策金利が1%に引き上げられれば、新日銀法施行前の1995年以来、31年ぶりの高水準となる。2024年3月のマイナス金利政策の解除を含めて、23年4月に就任した植田和男総裁の下での利上げは5回目。日銀が目指す金融政策の正常化がさらに進むことになる。

日銀の植田和男総裁

関係者によると、一部の政策委員から利上げに反対する意見も出る可能性がある。中東情勢の行方は依然として不透明だが、実質金利は極めて低く、国内の金融環境は引き続き緩和的と日銀は判断している。

日銀は現時点では政策対応が遅れるビハインド・ザ・カーブに陥っていると認識しておらず、連続的な政策金利の引き上げや大幅な利上げが必要とは判断していないと関係者は指摘。ただ、物価の上振れリスクが意識される状況が続く可能性は大きく、動向次第で年内の追加利上げの余地もあるとみている。

15、16日の会合では中東情勢を受けた内外の経済・物価や金融市場の動向などを直前まで見極め、最終的に利上げの是非を判断する。

ブルーバーグの報道後、東京外国為替市場の円相場は対ドルで一時159円60銭台に上昇幅を拡大した。直前は159円90銭台で推移していた。債券市場では長期国債先物が一時128円60銭台に下落した。

植田総裁は3日の講演で、経済の下振れリスクに比べて物価の上振れリスクが高まると判断される場合、「利上げの是非についてしっかりと議論する必要がある」と指摘。供給ショックに伴う物価上昇は一時的なものにとどまらず、政策判断で重視する基調的な物価上昇率が「上振れていくリスクも意識せざるを得ない」と語った。

国債買い入れ減額

今月会合では国債買い入れの減額計画について中間評価を行う。25年6月に決めた現在の計画は、四半期ごとに買い入れ額を2000億円ずつ減らし、27年1-3月に月間購入額が2.1兆円程度まで縮小する。減額開始前の買い入れ額は月間約6兆円だった。

関係者によると、現行の減額計画は維持される方向だ。焦点となる27年4月以降については、減額の進捗(しんちょく)に伴う市場機能の回復や中東情勢を受けた金融市場の不安定な状況を踏まえ、2000億円の減額に慎重な見方があるという。その場合、減額ペースの鈍化、あるいは一時停止の可能性が検討される見通しだ。

日銀は異次元緩和で膨張したバランスシートの正常化も進めているが、保有国債の満期償還を中心に規模の圧縮が進む中、買い入れ自体が規模縮小に及ぼす影響は大きくない。国債買い入れの着地点が見えつつある中、削減ペースの増減はそれほど重要ではなくなっているとの声もある。

0.75%の政策金利の維持を決めた前回の4月会合では、9人の政策委員のうち3人の審議委員が1.0%への利上げが必要として反対した。その後も中東情勢を受けて物価上振れリスクへの警戒感が強まる中、他の2人の審議委員が講演や会見で早期利上げに前向きな姿勢を示した。

市場では今月会合での利上げ観測が強まっており、足元の金利スワップ市場が織り込む利上げ確率は約89%と1週間前の約77%から上昇している。政府が4月下旬以降、計11兆円超に上る為替介入を実施しても、円相場が対ドルで介入前の水準である160円付近で推移していることも利上げ観測を後押ししている。

(市場の反応を追加して更新しました)

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