暗号資産(仮想通貨)ビットコインが3日に続落した。ストラテジーが保有する巨額のビットコインのごく一部を売却したことが投資家心理を冷やし、過去最高値を更新しているハイテク株との値動きの乖離(かいり)が広がった。

ビットコインは、3日のニューヨーク市場終盤に一時4%安の6万4692ドルまで下落し、2月28日以来の安値を付けた。今週に入り時価総額は1600億ドル(約26兆円)余り減少した。下落のきっかけは、ストラテジーが現在約560億ドル相当を保有するビットコインの一部として約250万ドル相当を売却したことだった。

ウェーブ・デジタル・アセッツの国際ポートフォリオ運用責任者、ラジブ・ソーニー氏によると、今回の売却は保有する84万3706ビットコイン(BTC)のうちわずか32BTCに過ぎず、財務面から見てごく小規模だった。しかし、ストラテジーのマイケル・セイラー会長が長年掲げてきた「決して売らない」という方針に対する市場の信頼を揺るがしたという。

ソーニー氏は「ストラテジーによる32BTCの250万ドルでの売却は、620億ドル規模の保有残高と比べれば財務的には取るに足らず、端数処理レベルの規模だ」と指摘。「しかし、ここ数週間のビットコインの不振を踏まえると、この動きが市場に示唆する意味の方が重要だ」と述べた。

ビットコインの軟調ぶりは、株式市場の上昇基調と全く対照的だ。ナスダック100指数は2日に過去最高値を更新し、元祖暗号資産であるビットコインとハイテク株との乖離拡大が改めて浮き彫りになった。ビットコインはかつて、多くの投資家からハイテク株の高ベータ代替資産と見なされていたが、その関係は昨年10月の市場急落以降、弱まっている。

人工知能(AI)関連株が資金を集め続ける中でこうした資金移動は特に顕著となっている。ナスダック100指数は過去12カ月で41%上昇した一方、ビットコインは38%下落し、昨年の高値を48%下回る水準にある。

FXHBアセット・マネジメントのパートナー、カーニー・マク氏は「ビットコインやデジタル資産からAI関連株へ一部資金を移している」と述べ、「現在はデジタル資産に比べてAIの方がリスク・リターン特性が魅力的であり、一部投資家がポートフォリオの配分を見直している」と説明した。

グラスノードのデータによると、買い手の構成は5月以降変化している。先月初めの上昇局面では、1000BTCから1万BTCを保有する投資家層が買いを主導していた。この層は一般に大手機関投資家と関連付けられる。しかし6月に入ってからはこうした買い手の活動が鈍る一方、小口ウォレットや最大規模のクジラ投資家が下落局面での買い増しに一段と積極的な姿勢を示している。

マク氏によると、暗号資産市場には足元で強力な材料が不足している。値動きは一定レンジ内にとどまる傾向が強まり、流動性やマクロ経済環境への依存度が高まっているという。また、一部の暗号資産関連IPO計画は延期される一方、AI企業は引き続き投資家需要を集め、市場の勢いが増していると同氏は指摘した。

ETFから資金流出

売り圧力は資金フローやデリバティブ市場にも表れている。ブルームバーグ集計データによると、米国上場のビットコイン現物上場投資信託(ETF)からは過去12営業日で約40億ドルが流出した。連続流出としては過去最長となる。コイングラスのデータによれば、永久先物市場では過去24時間で約10億ドル相当の強気ポジションが清算された。

ビットコイン市場はこれまで、大口保有者が買い増しを続けるとの期待に支えられてきた。そのため、ストラテジーによる小規模な売却であっても、その意味合いは極めて大きく受け止められている。相場を支えてきた重要な投資ストーリーの心理的な土台が今回の開示によって変化したのではないかとの懸念が広がっている。

ストラテジーに続いて登場した新興のビットコイン蓄積企業の多くは既に、保有トークンの売却を進めるか、そうした圧力にさらされており、取引が無秩序に巻き戻される可能性も意識され始めている。ある集計によると、上場企業全体のビットコイン保有量は124万BTCに上る。

原題:Bitcoin’s Break With Tech Widens as Strategy’s Sale Feeds Rout(抜粋)

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