通貨当局による円買い介入が警戒される中、為替トレーダーはドル・円相場を重要な節目の160円台へ押し上げることに慎重だ。

政府・日本銀行は4月28日から5月27日の間に月次で過去最大の11兆円超を投じて円を支えたが、円安圧力は依然として強い。3日午前には一時160円ちょうど寸前まで円が売られ、4月30日以来の円安値を更新。片山さつき財務相は同日、必要に応じていつでも対応する用意があると、改めて円安をけん制した。

外為どっとコム総合研究所の中村勉為替アナリストは、ドル・円が160円台に乗せると一気に介入警戒感が高まると指摘。「心理戦が繰り広げられている」とした上で、160円台はいつ付けてもおかしくないが、維持できずドル・円はすぐに反落するとの見方を示した。

円相場が重要な節目の水準付近で推移する中、市場では4日までに満期を迎える総額80億ドル超のドル・円オプションに関心が集まっている。3日には行使価格159円75銭で想定元本15億5000万ドルのオプションが期限を迎え、4日には同159円ちょうどで46億6000万ドル、160円ちょうどで23億ドル相当のオプションが満期を迎える。

円の先安感は根強い。米国とイランの恒久的な停戦に向けた交渉に進展の兆しが見られず、原油高止まりが貿易赤字の拡大懸念につながっている。日米の金利差がなお大きいことも円の重しだ。

目先の焦点は日銀の植田和男総裁が3日午後5時半に行う共同通信社きさらぎ会での講演で、15、16日の金融政策決定会合を前に最後の発言機会となる。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では今月の利上げが80%超の確率で織り込まれている。

ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは「6月の利上げは完全には織り込まれておらず、利上げを織り込ませるようなコメントがあれば、多少は円高圧力になる」とみる。一方で、発言が利上げに慎重なハト派的と受け止められれば、ドル高・円安が大幅に進む可能性もあり、市場の注目度は高いと述べた。

--取材協力:近藤雅岐.

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