(ブルームバーグ):通貨当局による再度の円買い介入が警戒される中、円は対ドルで重要な節目となる160円近辺で推移している。
ブルームバーグのデータで、円の対ドル相場は午後6時14分時点で159円82銭。複数のトレーダーによると午前にはCMEグループのEBSプラットフォームで160円を記録した。
片山さつき財務相はこの日、必要に応じていつでも対応する用意があると改めて円安をけん制した。高市早苗首相も午後の参院本会議で、投機的な取引を含む、実需に基づかない取引が為替相場に大きな影響を与えるようになってきているとし、「必要に応じ、いつでも適切に対応する」と語った。これを受け、円は一時159円台半ばに上昇する場面があった。
4月28日から5月27日にかけて、日本政府が円相場を支えるために過去最高の11兆7300億円(733億5000万ドル)を投入したにもかかわらず、心理的な節目となる水準まで円安が進んだ。また、160円の水準は円を買う、または売る多数のオプション契約にとって重要な水準となっている。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、EBSでは160円で相当量の取引が行われたと述べた。みずほ銀行国際為替部為替スポットチームの田中潤平次長は、日本時間午前8時30分から9時の間に160円を付けたと述べた。

円相場が重要な節目の水準付近で推移する中、市場では4日までに満期を迎える総額80億ドル超のドル・円オプションに関心が集まっている。3日には行使価格159円75銭で想定元本15億5000万ドルのオプションが期限を迎え、4日には同159円ちょうどで46億6000万ドル、160円ちょうどで23億ドル相当のオプションが満期を迎える。
円の先安感は根強い。米国とイランの恒久的な停戦に向けた交渉に進展の兆しが見られず、原油高止まりが貿易赤字の拡大懸念につながっている。日米の金利差がなお大きいことも円の重しだ。
日本銀行の植田和男総裁は3日の講演で、先行き経済の下振れリスクに比べて物価の上振れリスクが高まると判断される場合には、利上げの是非についてしっかりと議論する必要があるとの見解を示した。円相場は一時159円30銭台に上昇する場面もあったが、すぐに円安・ドル高方向に戻するなど市場の反応は限られた。
ノムラ・インターナショナルの通貨ストラテジスト、宮入祐輔氏は植田総裁の発言は6月利上げを裏付ける内容だが、利上げ加速を示唆するものではないとの見方を示した。ドル・円への影響は限定的で、相場は引き続き海外要因に左右されると指摘した。
一方、みずほ銀行のシニア為替ストラテジスト、中島將行氏は植田総裁の発言は日銀がインフレ上振れリスクをより重視し始めたことを示唆すると指摘。最近のタカ派姿勢は円安への警戒感も背景にあり、円相場の下支え要因となる可能性があるとの見方を示した。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、今月の利上げが80%超の確率で織り込まれている。
(2段落の円の水準を更新し、8段落以降に植田総裁の講演内容とストラテジストのコメントを追記)
--取材協力:近藤雅岐、日高正裕、日向貴彦、ジョン・チェン.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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