(ブルームバーグ):トイレ大手のTOTOが、半導体企業としての存在感を高めようとしている。同社で最高技術責任者(CTO)を務める林良祐専務執行役員は、今後半導体関連製品を扱う新領域事業への設備投資額が、会社全体の5割超になる見通しを示した。住設事業に投資が集中してきたが、人工知能(AI)ブームを背景とする半導体需要の取り込みを加速させる。
林氏は5月末のインタビューで、「デマンドに応じてちゃんと提供できる」生産体制を整えていく考えを示した。また近年進めてきた米国や中国でのトイレ関連の大型投資が一巡したこともあり、住設事業と新領域事業の設備投資比率が「ひっくり返ってくるというような形になる」と述べた。半導体関連への投資額は、前期(2026年3月期)時点では全体の11%にとどまっていた。

半導体業界にかつてない追い風が吹き、関連銘柄を探す投資家の目に留まったのがTOTOだ。セラミック技術を生かした半導体製造装置向けの部材を扱い、前期には同分野の営業利益が住設事業を超えた。
アククティビスト(物言う株主)の英パリサー・キャピタルは2月、「最も過小評価され、見落とされているAIメモリーの受益者」と指摘。半導体事業の情報開示強化や投資拡大を求めている。
TOTOも手をこまぬいているわけではない。29年3月期までに約300億円の設備投資を行うと4月末に発表。それ以降も増産に向けた大規模投資を計画する。林氏は営業利益率に関しては設備の償却費用や為替に左右されるとしたが、「売り上げ的には必ず伸びる」との見方を示した。
祖業の衛生陶器の知見を生かし、同社が半導体業界に進出したのは1980年代だ。シリコンウエハの固定に使われる「静電チャック」や、微細なゴミの発生を抑えて歩留まり改善につながる「AD部材」などを扱う。AD部材には、汚れがつきにくい便器の開発をきっかけに考案された独自の技術が活用されている。

半導体関連事業は雌伏の時期が長く続いたが、2020年の生産の一部自動化などを経て採算が改善。足元で収益貢献に結びついてきた。
今後は半導体チップを組み合わせる「チップレット」技術の活用が進み、高機能のエンジニアリングセラミックスなどに商機があると、林氏はみている。樹脂や金属では対応できない分野で引き合いがあるという。
パリサーとのやりとりについて、TOTOはコメントを控えた。
SBI証券の高田航輝マーケットアナリストは、TOTOの半導体事業に伸びしろがあるとみる。半導体の高性能化が進むにつれて、従来に比べて製造難易度が上がるとして、耐熱性や安定性に優れたTOTOの部材の活用が広がるとみる。
TOTOの株価は、半導体銘柄と意識された今年はじめごろから、同業のLIXILを上回る伸び率を示している。3日は前日比11%高の8049円を付け、ブルームバーグのデータが残る1974年9月以来の日中高値となった。

(最終段落の株価を更新しました)
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