(ブルームバーグ):米銀ゴールドマン・サックス・グループが過去最大級となる増資案件の取りまとめを急ぐ中、引受先として白羽の矢を立てたのはバークシャー・ハサウェイの新たなトップ、グレッグ・アベル最高経営責任者(CEO)だった。
ゴールドマンから週末に打診の電話を受けたアベル氏は出資を即断。こうしてグーグルの親会社アルファベットは、前例のない規模の資金調達に向けて100億ドル(約1兆6000億円)規模のアンカー投資家を確保した。

この案件はまた、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が築き上げてきたバークシャーが、多額の資金調達や市場の信頼を求める企業にとって、今なお最初に駆け込む有力な支援者であることを改めて示した。
メガディールを組成する投資銀行関係者にとっても、バークシャーの潤沢な資金力が今なお大きな魅力であることを示している。
今回の案件には、バフェット氏が過去の大型投資で獲得してきたような新株予約権などの優遇条件は付いていない。それでもアベル氏にとっては、自社が抱える巨額の手元資金の一部を運用に振り向けるとともに、7.5%のディスカウント価格で積み増してきたアルファベット株への投資をさらに拡大する機会となる。
アルファベットによる総額800億ドル規模の増資は、スペースXやアンソロピックなどによる大型上場案件が相次ぐと予想されている今年の資本市場において、最大級のサプライズとなった。上場している大企業がこれほど大規模な増資を行うのは異例だが、人工知能(AI)開発競争で巨額投資を必要とするテック大手は、資本市場のあらゆる調達手段を活用して原資の確保を急いでいる。
アルファベットにとって今回の増資は、AI投資向けの資金確保だけでなく、AI半導体の供給元として存在感を増している独自の地位を生かす狙いもある。
同社が1日に発表した声明によると、今回の資金調達にはバークシャーを引受先とする100億ドルの私募増資に加え、300億ドルの株式および強制転換型優先株の発行が含まれる。また、第3四半期から随時株式を売却する400億ドル規模のアット・ザ・マーケット(ATM)プログラムも実施する。
アルファベットによると、ゴールドマンは私募案件を担当した。同行はJPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーとともに引受発行案件も主幹事として担当する。バークシャー、アルファベット、ゴールドマン・サックスの各社はコメントを控えた。
アベル氏は、過去最高まで積み上がったバークシャーの手元資金3970億ドルを迅速に投資に振り向け始めた。バークシャーは5月31日、住宅建設会社テイラー・モリソン・ホームを68億ドルで買収する方針を発表した。アベル氏がCEOに就任して以降、初の大型買収案件となる。

ウォーレン・バフェット氏(95)は今週、CNBCとのインタビューで、「グレッグは私よりも速く、スムーズにやってのけた」とし、アベル氏が「本格的に動き始めた」と語った。
バークシャーは昨年からアルファベット株の保有を積み増している。規制当局への届け出によると、3月末時点で保有するクラスA株とクラスC株の合計は約166億ドル相当だった。3月までの3カ月間で約4000万株を買い増しており、これはアベル氏がバフェット氏から経営を引き継いだ最初の四半期における最大の持ち高増加となった。
こうした矢継ぎ早の意思決定からは、アルファベット投資案件の発表日に64歳の誕生日を迎えたアベル氏が、バークシャーの経営で独自色を打ち出し始めていることがうかがわれる。バフェット氏と同様に機会を逃さず、素早く巨額投資を実行する姿勢を示しているとも言えそうだ。
また、アベル氏の投資手腕に注目している株主らにとっては一定の安心材料を提供しそうだ。アベル氏は広範な事業を抱えるバークシャーの事業運営能力については高い評価を受けているものの、今年CEOに就任するまで本格的に資産運用を担った経験はなかった。
バフェット氏の象徴的な投資手法と、多額の資金を迅速に投じる能力が最も発揮されたのは2008年の世界的な金融危機時だ。同氏はゼネラル・エレクトリック(GE)とゴールドマン・サックスの優先株を取得し、10%の配当を受け取った。
「オマハの賢人」バフェット氏は、2011年にバンク・オブ・アメリカ(BofA)の救済策を思いついたのは風呂に入っていた時だったと語っている。同氏は優先株と普通株を購入する権利を取得することでBofAと合意。バフェット氏がBofAにお墨付きを与える格好となり、金融危機からのBofAの回復を後押しする大きな原動力となったと受け止められている。
原題:Goldman’s Weekend Call to Berkshire Spurs an $80 Billion Deal(抜粋)
--取材協力:Todd Gillespie、Julia Love.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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