(ブルームバーグ):キオクシアホールディングスは2日、来期(2027年3月期)にも配当を開始する方針を示した。余剰フリーキャッシュフローの状況を見てタイミングを決めるとしており、今期の下半期に前倒しとなる可能性もあるという。同社の河村芳彦財務統括責任者がIR説明会で明らかにした。
水準など詳細については明らかにしていない。実現すれば、2024年12月の上場以来初めてとなり、配当を投資条件としている機関投資家や、配当を重視する個人投資家などにも門戸が開かれ、株主の幅が広がりそうだ。
人工知能(AI)向けで半導体需要が拡大し利益が膨らむ中、株主還元の方向性や規模感に市場の注目が集まっていた。同社の26年4-6月期(第1四半期)の営業利益は前年同期比約29倍の1兆2980億円となる見通しだ。
河村氏は、収益が大きく増加した場合には加算的な特別配当も選択肢に入るほか、株価の状況に応じて自社株買いの可能性もあると説明した。
17年に東芝から分社化したキオクシアHDは、市況悪化をうけて低迷した時期もあったが、足元ではAIブームの恩恵を受けている。韓国の競合が次世代品の広帯域メモリー(HBM)に注力する中、キオクシアHDが手がけるNAND型フラッシュメモリーは需給がひっ迫し、販売単価も上昇している。NANDはAIサーバーなど長期記憶用のデータ保存に使われる。
投資家の期待は大きく、株価は年初来で約7倍と、韓国サムスン電子やSKハイニックスの上昇率を多く上回る。時価総額は約39兆円とソフトバンクグループ、トヨタ自動車に続く3位に浮上。昨年末の時点では43位だった。
株主還元と並行してAI関連需要を取り込むため成長投資を進める。今期から3年間の設備投資額は年平均で4700億円と、前期比約6割増を計画する。太田裕雄社長は同日開いた説明会で「AIの進化に合わせて必要とされるメモリーソリューションも進化が必要」と述べ、フラッシュメモリー以外の領域も買収の検討対象になると明らかにした。
キオクシアHDはかつて東芝の中核事業だったが、米原発事業の損失を穴埋めするため18年にベインキャピタル主導の「日米韓連合」に2兆円で売却された。その後、24年に上場していた。
ゴールドマン・サックス証券アナリストの中村修平氏と大竹花歩氏は5月31日付けのメモで、NANDの需給ひっ迫感が今後も続くことなどから、今後2-3年の利益水準はこれまでの想定に比べ高い水準で推移するとの見方を示した。
一方でNAND領域では中国の半導体メーカー、長江存儲科技(YMTC)も近年存在感を高めている。トレンドフォースのリサーチマネージャー、ブライアン・アオ氏はYMTCの生産拡大がNANDの需給バランスに影響を与えるようになった場合、リスク要因になると指摘した。
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