米国とイスラエルの戦闘機がホルムズ海峡で複数のイラン船舶を攻撃した。数時間前にはトランプ米大統領が、停戦延長とホルムズ海峡の通航再開を巡るイランとの暫定合意に向けた交渉について「順調に進んでいる」と述べていた。

攻撃はホルムズ海峡のララク島南方で発生し、イラン要員数人が死亡したと、イラン国営ヌール通信が報じた。詳細は明らかにしていない。

米中央軍は声明で、米軍がイラン国内のミサイル発射拠点や機雷設置を試みていた船舶を攻撃したと明らかにした。ティム・ホーキンス報道官は、攻撃は防衛目的であり、「イラン軍による脅威から部隊を守るため」だったと説明した。

ルビオ米国務長官は、戦争終結に向けたイランとの交渉が続けられており、数日を要する見通しだとインドで記者団に語った。また、トランプ氏は良い合意を結ぶか、さもなければ合意しないのいずれかになるだろうと述べた。

ペルシャ湾での戦闘再燃は、米国とイランの既存の停戦がいかに脆弱(ぜいじゃく)かを浮き彫りにしている。同海峡は、米国とイスラエルが2月下旬にイランを攻撃して以降、事実上封鎖され、エネルギー危機を引き起こし、世界的なインフレの波を招いた。

米軍による攻撃を受け、イランとの合意成立に対する楽観的な見方が後退したことから、株価は上げ幅を縮小し、原油価格は上昇した。北海ブレント原油は25日の7%を超える下げから切り返し、約2%上昇して1バレル=98ドル付近となっている。

トランプ氏は25日、SNSへの投稿で、サウジアラビア、カタール、パキスタン、トルコ、エジプト、ヨルダンを含む各国は義務としてアブラハム合意に署名すべきだとの考えを示した。その後、イランの濃縮ウランは米国に引き渡されるか、望ましくはイラン国内で廃棄されることになるとの見解を示した。

トランプ氏は、共和党のグラム上院議員らイラン強硬派から圧力を受けている。グラム氏は現在浮上している合意案がイランに過度に譲歩していると主張している。

トランプ氏によるアブラハム合意拡大要求は、強硬派への配慮につながる可能性がある。同合意では、アラブ首長国連邦(UAE)など複数のアラブ諸国が2020年にイスラエルを正式承認した。サウジアラビアとカタールはこれまで、イスラエルがガザ地区とヨルダン川西岸でのパレスチナ国家樹立を認めるか、その実現に向け具体的措置を講じるまでは、イスラエルを承認しないとの立場を示している。

一方、イスラエルのネタニヤフ首相は25日、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラへの攻撃を強化すると述べた。同日にはイスラエル国防軍が、レバノン南部にあるヒズボラのインフラ施設への攻撃を発表した。これは、ヒズボラが発射した爆発物搭載ドローン(無人機)がイスラエル領内に落下し、イスラエルに向けて発射されたロケット弾を空軍が迎撃したことを受けたものだ。

イランは、ホルムズ海峡の通航再開につながる米国との合意の一環として、レバノンでの敵対行為の停止を求めている。米ニュースサイトのアクシオスは、米国とイランの合意に向けた草案に、イスラエルとヒズボラとの戦争を終結させる文言が含まれていると報じた。

イランのガリバフ国会議長が率いる代表団は、戦争終結に向けた交渉に関連する事項についてカタール高官と協議するため、ドーハを訪問した。イランのヘンマティ中央銀行総裁も代表団に加わっており、凍結されているイラン資金の解除について協議する予定だと、ファルス通信が報じた。

中東のテレビ局アルアラビーヤはまた、パキスタンのムニール陸軍参謀長もドーハへ向かっていると報じた。パキスタンは米国とイランの協議で仲介役を担ってきた。

暫定合意は、中東各地で数千人の死者を出した戦争終結につながる可能性がある。死者の多くはイランとレバノンで発生している。この紛争は燃料価格高騰を招いており、戦争に反対する米国民も多いことから、トランプ氏への圧力も強まっている。

トランプ氏は、「全ての当事者にとって偉大な合意になるか、そうでなければ合意はない。そうなれば戦場に戻り、これまで以上に大規模かつ激しい戦闘になる」と述べた上で、「誰もそれは望んでいない」と語った。

協議の大きな争点は、米国がイランに対し、核開発計画の停止と、兵器級に近い高濃縮ウランの引き渡しを求めている点だ。米国はさらに、約20年間にわたりウラン濃縮を停止するようイランに要求している。

アルアラビーヤはXへの投稿で、イランが合意進展前に中国からの保証を求めていると、匿名筋の情報として報じた。イランは高濃縮ウランを中国へ移送するよう要求しているという。

このほか、ホルムズ海峡における船舶の自由な航行やイラン凍結資金の解除ペースなど、重要な詳細を詰める必要がある。

イランは今回の戦争が始まって以降、エネルギー海上輸送の要衝であるホルムズ海峡の船舶通航を自国で管理できる必要があると主張。一方、米国やアラブ諸国、欧州は、イランによる管理は容認できないとの立場だ。

イランはここ数日、通航料を徴収する案から軌道修正している。イラン外務省のバガエイ報道官は25日、ホルムズ海峡を通過する船舶から「サービス料金」を徴収する方針を示した。

原題:US Strikes Targets in Iran as Trump Hails Progress on Peace Deal(抜粋)

(ルビオ氏の発言などを追加して更新します)

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