米国債市場では、ウォーシュ新米連邦準備制度理事会(FRB)議長の下で高金利政策が長期化するとの観測が強まり、主要な利回り格差が1年ぶりの低水準に縮小した。

5年債と30年債の利回り差は、約81ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)へ縮小し、2025年5月以来の低水準となった。この利回り差は投資家が長期債保有に求める上乗せ利回りを示す指標として注目される。

背景には主に短期債売りがある。短期債はFRBの政策見通しの変化に敏感で、2年債と30年債の利回り差も22日時点で7月以来の低水準に縮小した。

投資家の間では、イラン戦争が23年以来最大のインフレ加速を招いたことを受け、FRBが年内に金融引き締めへ動くとの見方が強まっている。金融緩和寄りだった当局者の一部も姿勢を転換している。トランプ米大統領は22日、繰り返し利下げを求めてきたにもかかわらず、ウォーシュ氏には独立してFRBを運営してほしいと述べた。

野村ホールディングスのシニアストラテジスト、アンドリュー・タイスハースト氏は、「経済指標と政治の両面から、利下げ圧力が後退している。短期ゾーンの利回りはその分だけ上方修正されている」と指摘。また、「トランプ氏がウォーシュ氏に『自分のやり方で』やらせると発言したことも支援材料だ」と述べた。

利回り曲線がフラット化する中、トレーダーの間ではインフレリスクと景気後退リスクのどちらが最終的に米国債市場を左右するかを巡る議論が広がっている。米国債は世界の借り入れコストの指標となっており、日本国債や欧州債、新興国債にも影響を与えるため、市場への影響は大きい。

ウォラーFRB理事は先週、次の政策変更は利下げと同程度に利上げもあり得ると述べた。ウォラー氏はこれまで、労働市場保護のため利下げを支持していた。

ウォール街でも金利上昇観測が強まっている。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、金利がさらに大きく上昇する可能性があると警告した。

INGグループやゴールドマン・サックス・グループ、バークレイズのストラテジストらは、原油高によるインフレが沈静化しても、一部長期金利の上昇は完全には巻き戻されない可能性が高いとみている。背景には、膨張した政府債務や人工知能(AI)投資ブームの影響がある。

原油価格は25日、米国とイランの合意によりホルムズ海峡再開への期待が高まったことから下落した。トランプ氏は交渉が「順調に進んでいる」と述べた。

ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、トレーシー・チェン氏は、いわゆる「債券自警団」が中央銀行に対し、対応が後手に回っていると警告していると指摘。同氏は25日のブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「原油価格がある程度落ち着いたとしても、先進国債市場の売りが構造的にここで止まるとは思わない」と述べた。

同氏は、財政拡張政策や多額の防衛支出、AIインフラ投資、高齢化、地政学的混乱などを背景に、10年債利回りが最終的に5%付近へ上昇し、一部年限では5.5-6%へ達する可能性もあると予想した。

5年債利回りは先週、一時4.35%と年初来で最高の水準を付け、その後22日時点では4.26%だった。30年債利回りは原油価格下落を受け、年初来最高の約5.20%から5.06%へ低下した。10年債利回りは4.56%だった。25日は米祝日のため現物債取引は休場だった。

市場では現在、FRBが12月までに利上げを開始することがほぼ確実視されている。イラン戦争前には0.25ポイントの利下げ2回が見込まれていたが、市場予想は一変した。

原題:Treasury Curve Flashes Higher-for-Longer Warning Under Warsh(抜粋)

--取材協力:Avril Hong.

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