米国のトランプ政権は、量子コンピューティング向け半導体を製造するファウンドリー建設に向け、IBMに10億ドル(約1590億円)を支援することで合意した。新興の量子コンピューティング分野で、米国の主導権を強化する狙いがある。

IBMも21日、新会社「アンダロン」に10億ドル投資し、量子コンピューター向けプロセッサーを製造すると発表した。

IBM以外にも7社以上が政府の支援を受ける。発表によると、量子コンピューティング向け特殊半導体を開発するグローバルファウンドリーズは3億7500万ドル、Dウェーブ・クアンタム、リゲッティ・コンピューティング、インフレクション、サイクオンタムは、それぞれ最大1億ドルの支援に向け、米商務省と基本合意書を締結したという。このほか、アトム・コンピューティングとクアンティニュアムも1億ドルの支援対象となり、スタートアップのディラクには3800万ドルが支給される。

IBM株は21日朝のニューヨーク市場で一時4.1%上昇した。グローバルファウンドリーズは11%、Dウェーブ・クアンタムは20%、リゲッティ・コンピューティングは20%、インフレクションは36%それぞれ一時上昇した。

各国政府は、量子コンピューティング分野への資金支援を進めている。この技術は、創薬から暗号技術に至るまで、幅広い分野で新たな能力をもたらす可能性があると専門家はみている。現時点では主に研究用途に使われているものの、潜在能力は銀行や政府データを守るシステムを突破しかねず、国家安全保障上の脅威となる可能性もある。

合意は、米国内の半導体製造を支援するCHIPS・科学法に基づく資金を活用した、商務省による総額20億ドルの量子コンピューティング支援策の一環で、近く正式決定される。商務省によると、米政府は支援の見返りとして各社株式の少数持ち分を取得するが、経営支配権は持たない。資金はCHIPS法で110億ドルの予算配分を受けていた研究開発向けプログラムから拠出される。

ラトニック商務長官は昨年、非営利研究機関向けに割り当てられていた110億ドルのうち74億ドルを取り消し、その一部を政府にリターンをもたらす投資へ振り向けた。今回の量子コンピューティング企業支援も、2022年CHIPS・科学法を再構築する同氏の取り組みの一部だ。

マイクロソフトやアルファベット傘下のグーグルといった大手企業やスタートアップは、量子物理学を応用し、現在のものを飛躍的に上回る性能を持つコンピューターの開発を進めている。

原題:IBM Wins US Funding to Back $2 Billion Quantum Chip Venture(抜粋)

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