(ブルームバーグ):第一生命保険を傘下に抱える第一ライフグループの時価総額が21日、終値ベースで初の6兆円台に乗せた。菊田徹也社長が3年前の就任時に2027年3月末とした目標時期を前倒しで達成した。
同日の株価終値は前日比0.8%高の1669円となり、時価総額は6兆449億円となった。菊田社長は23年4月に就任。6兆円の目標を掲げた当時の時価総額は2兆4000億円程度だった。株価は3年間で2.7倍に上昇し、同期間の日経平均株価の伸び率2.2倍を上回る。
時価総額の目標を打ち出す日本企業のトップがまだ少ない中、有言実行した形だ。菊田社長は意欲的な目標だったと振り返りつつも「到達可能な線であることを確認できたことは大きい」と述べた。「資本効率の改善と着実な利益成長を続けていくことが大事だ」とも語った。
GCIアセットマネジメントの池田隆政シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、時価総額を目標に掲げるケースは「海外ではよくあることだが、日本の経営者ではまだ少ない」と指摘。「株価を意識した経営を行うというイメージを打ち出したかったのではないか」とみる。足元の株価上昇は、金利高を受けた資産運用事業での利益押し上げなどが大きな背景と分析する。
少子高齢化による国内の人口減少といった課題を抱える生命保険業界は、海外市場の開拓や資産運用力の向上、介護や健康増進といった非保険分野への進出を進めている。第一ライフグループの海外での積極的な企業の合併・買収(M&A)戦略も株式市場では評価されている。
今期(27年3月期)のグループ修正利益は中期経営計画で掲げていた4500億円を上方修正し、前期比1.5%増の5600億円と4期連続での最高益を見込む。モルガン・スタンレーMUFG証券の竹村淳郎株式アナリストらは15日付のリポートで、修正利益の会社計画は「サプライズだった」との見方を示した。特にオセアニアおよびアジア・その他海外の見通しは株式市場の想定よりも強かった可能性があると指摘した。
第一ライフグループは25年に約1030億円を投じて年金保険事業などを展開する豪チャレンジャーを持ち分法適用会社化したほか、今年1月には米損害保険会社も買収した。25年3月期に約25%だった海外事業の比率は、今期末に約40%にまで高まる見通し。30年度までの修正利益は7000億円を目指し、海外事業比率を約50%に高める計画だ。
第一ライフグループ株に投資するレオス・キャピタルワークスの内藤誠・国内株式戦略部長は「国内金利の上昇や株高による資産運用面での恩恵を享受してきた」と株価上昇には追い風もあったと指摘する。その上で「利益成長の確度が高まっているかと言われると正直分からない。ここからは実績を作る局面に入る」との見方を示した。
菊田社長は30年度に時価総額10兆円を目指す目標も掲げる。世界の生命保険業界ではドイツのアリアンツの時価総額は約27兆円、香港のAIAグループが18兆円、カナダのマニュライフ・ファイナンシャルが10兆円などとグローバル大手との差は大きい。
GCIアセットの池田氏は、時価総額10兆円の達成に向けて、今期から配当性向50%以上とした配当水準を維持できるかが重要とみる。「そのためには利益を伸ばしていかないといけない。資産運用と保険の両輪をしっかり回していくことが大切だ」と指摘した。
4月に社名を第一生命ホールディングスから変更した第一ライフグループ。「グローバルトップティアに伍する保険グループ」を目指すとし、生保の枠を超えた人々の生活(ライフ)に貢献するとの意志を込めた。持続的な株価上昇には戦略投資を通じた利益成長の裏付けが鍵を握る。
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