(ブルームバーグ):日本の4月の原油輸入量は過去最大の落ち込みとなった。米国・イスラエルとイランの武力衝突で不安定化した中東情勢の影響が顕在化した。円安などの影響で原油の円建て単価は過去最高を更新した。
財務省が21日公表した貿易統計によると、4月の原粗油の輸入量は前年同月比63.7%減少した。金額ベースでは49.9%減で、減少率はコロナの影響を受けた2020年11月(50.2%減)以来の大きさだった。中東地域からの輸入に限ると、減少率は数量で過去最大、金額では20年7月(62.1%減)以来の大きさだった。
原粗油の円建て単価(速報値)は1キロリットル当たり10万1389円と過去最高。前月から3万3694円上昇した。前年同月と比べると2万7861円高い。2000年代に原油価格が高騰した当時はドル・円相場が円高だったことから、円建て単価は比較的低く抑えられていた。

2月末から始まったイラン戦争の早期終結が見通せず、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡は実質的な封鎖状態にある。3月分の統計で原油輸入量は増えていたが、同輸入の9割超を中東地域に依存する日本にとって、影響は4月以降に表面化するとみられていた。
BofA証券の工藤嵩泰シニアエコノミストは、中東情勢の影響が「税関ベースで今回から出てきているという形だ」と指摘。「4月のデータで中東の影響がどれぐらい景気に跳ね返ってくかは読み切れない部分もある」ため、成長の下押し懸念は続くとの見方を示した。
原油供給の混乱でエネルギー価格の高騰が収まらない中、高市早苗首相は18日に26年度補正予算の編成も含めた対応を検討すると表明。債券市場は金利上昇で反応するなど、原油動向を起点とした市場不安や財政悪化が意識される現状が浮き彫りになった。エネルギーの供給不安が長期化すれば世界的な景気悪化を招く恐れもある。

国際通貨基金(IMF)は先月公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、中東での戦争が大規模な原油ショックを引き起こしたことを踏まえ、今年の世界経済の成長率見通しを1月時点の3.3%から3.1%に引き下げた。紛争が長期化し、エネルギー施設が甚大な被害を受けた場合、景気への下押し圧力はさらに強まり得るとみている。
4月の全体の輸入額は9.7%増(市場予想8.5%増)と3カ月連続の増加。輸出は同14.8%増と、8カ月連続で増加した。伸び率は市場予想(9.2%増)を上回った。
輸出の地域別では、米国向けが9.5%増、中国向けは15.5%増と、いずれも2カ月連続のプラス。欧州連合(EU)向けは26.9%増、アジア向けは16.1%増で、ともに9カ月連続プラスとなった。中東向けは55.5%減少した。
輸出から輸入を差し引いた貿易収支は3019億円の黒字と、3カ月連続のプラス。ドル・円の平均値は1ドル=159.27円と前年比7.8%の円安だった。
財務省の説明
- 4月は中東からの原油輸入が減少する一方、米国からの輸入量が38.8%増加していることから、代替調達が進展している
- 米国からの「揮発油」輸入のうち、年間でならすと8割程度はナフサとみられる。数量で206倍と、代替調達が進んでいることの表れ

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--取材協力:横山恵利香.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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