日本政府観光局(JNTO)が20日発表した4月の訪日客数は前年同月比5.5%減の369万2200人だった。中国客が前年比で6割弱減ったほか、英国やイタリアなど欧州からの観光客も振るわなかった。

中国客は57%減の33万700人となった。高市氏の台湾関連の発言を受け、中国政府が渡航自粛を呼びかけたことで同国客は昨年末から大きく減少。自粛要請から約半年経つが回復に至っていない。英国は14%減の5万9900人、イタリアは34%減の3万人だった。イースター休暇の時期が4月から3月にずれたことや、中東情勢を背景とした航空券価格の上昇などが響いたという。

インバウンド産業に逆風が吹く中、下支え役になっているのが韓国客だ。4月は22%増の87万8600人と大幅に増えた。釜山と沖縄県の下地島間の新規就航や、仁川と成田、仙台間のそれぞれの増便も後押しになった。中国からの観光客の減少分を、韓国客が一定程度補う構図となっている。19ー20日に訪韓した高市早苗首相は「国賓に準ずる礼遇」で迎えられたと報じられており、両国政府の「蜜月」も追い風になっている。

JNTOソウル事務所長の清水雄一氏は、韓国客が堅調に推移する要因がいくつかあるが、その一つにエンタメがあると説明する。2024年に同国で放送された日韓の歌手が出演する歌番組をきっかけに、日本の音楽や映画などが広がったという。J-POPなど大衆文化に対して自主規制が長年続いていたが、足元では両国の政治関係が安定していることもあり、「良いものは良い、好きなものは好きと言える環境」になっていると清水氏は話す。

清水氏によると、平均滞在日数は3.6泊で、週末に遠出する感覚で日本に訪れる人が多い。目的はアニメや映画の聖地巡りに加えて、話題のスポットやカフェ巡り、買い物と「気負わない旅行先として人気を集めている」という。

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

ゴルフも人気だ。韓国ではゴルフのプレー料金が日本の2倍程度とされ、割安感から来日してプレーを楽しむ動きが広がっている。平和傘下のアコーディア・ゴルフでは、25年4月にインバウンド推進部を新設。インバウンドの8割が韓国からの訪日客だという。韓国語の予約サイト立ち上げや、ゴルフ場での案内表示の多言語化、韓国語対応スタッフの配置など受け入れ体制の強化を進めている。

同部部長の丸藤克行氏は、1度訪れると場所を変えて再訪したいというニーズもあるとし、「リピーターを増やす取り組みを加速させたい」と話す。

今後の課題は地方分散だ。清水氏によると、韓国からは全国30以上の空港に直行便が就航している一方、到着空港でみると成田、関西、福岡の3空港で8割を占めるという。清水氏は、東京、大阪、福岡以外の都市への誘客を進めることで、韓国市場は「まだまだ伸びる余地がある」と話した。

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