(ブルームバーグ):ゲームメーカー大手の任天堂の株価が約2カ月ぶりの上昇率を記録し、底入れ反転の兆しを見せている。家庭用ゲーム機「スイッチ2」の今年の販売台数は減少する見通しで、業績懸念から下落基調を強めていたが、人工知能(AI)関連銘柄の投資に疲れた一部の投資家が割安感から買いを入れ始めた。
19日の日本株市場で任天堂株は一時前日比6.8%高の7670円と3営業日続伸し、3月11日(11%)以来の日中上昇率を記録した。終値は4.7%高の7519円で、この日は他のゲーム関連銘柄にも投資資金が流入し、バンダイナムコホールディングスは一時9.6%高、コナミグループも10%上昇する場面があった。
ゲーム株はここ数カ月にわたり、半導体メモリー価格の高騰や需給逼迫(ひっぱく)が関連企業の収益を圧迫するとの懸念から低迷が続いてきた。その間、相場全般を引っ張ったのが半導体やAI関連銘柄だったが、急騰による過熱感や金利上昇を受けグロース株(成長株)を敬遠する動きが重なり、市場関係者の間では割高なAIから割安なゲームへの資金シフトの可能性が指摘されている。
アシンメトリック・アドバイザーズの日本株ストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は19日の動きについて「AIテクノロジー株から出遅れ銘柄へのローテーションの一部だ」と分析。市場がAI、テクノロジー株の「持続不可能な急騰に対し警戒感を強めていることを浮き彫りにしている」と語った。
アンバーザデ氏によると、任天堂などゲーム株、AIの成長がビジネスモデルを脅かすと警戒されているソフトウエア株などAI相場の負け組と受け止められてきたセクターがリバウンドの対象になっているという。
19日は東証株価指数(TOPIX)が4営業日ぶりに反発した一方、値がさのAI・テクノロジー株の影響が大きい日経平均株価は4営業日続落。日経平均構成銘柄の下落率上位にはフジクラや古河電気工業、レーザーテック、ルネサスエレクトロニクス、東京エレクトロンなど半導体・データセンター関連、「ChatGPT」のOpenAIに投資するソフトバンクグループが並んだ。
米国のマイクロソフトなどハイパースケーラーと呼ばれるクラウドサービス大手がAI向けデータセンターへの投資を積極化していることで、恩恵を受けると期待される日本の関連銘柄も軒並み最高値を更新。この影響で日経平均は年初から約20%上昇し、米S&P500種株価指数をアウトパフォームしている。対照的に任天堂は4月まで5カ月続落と、過去10年で最も弱い値動きだ。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、米エヌビディアの決算発表を20日に控え、テクノロジー株への警戒感が強まっていると指摘。「エヌビディアは市場の高い期待に応えられないことが多く、その結果AI関連株が売られることがある」とし、警戒感から投資家の間で一時的にAI株の売却が活発化しているとの見方を示す。
もっともアンバーザデ氏は、19日の動きだけで任天堂株に対する見方が大きく変わる可能性は低いとも指摘。メモリー価格上昇への懸念や今後のゲーム投入計画に対する失望感が引き続き同社の重しだと言う。19日時点の年初来騰落率は29%安となっている。
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.