(ブルームバーグ):フジクラが19日の取引時間中、2029年3月期までの中期経営計画を発表した。光ファイバーなど主力分野を軸に事業拡大を進め、同期の営業利益を3150億円とする目標を掲げた。これは2026年3月期比で約7割増となるが、市場期待には届かず、株価は発表後に下げ幅を広げて取引を終えた。
新中計では、29年3月期までに生成AI(人工知能)、フュージョンエネルギーをはじめとする成長分野や研究開発への積極投資、M&A(買収・合併)などに約5300億円を振り向ける。配当性向は40%を目安とした株主還元も盛り込んだ。

厳しい反応
一方、株式市場の反応は厳しかった。午後に中計が発表されると同社株は下げ幅を広げ、終値は17%安の4695円だった。岡田社長はきょうの値動きについて、「多少、期待が高かった」との見方を示した。
27年3月期業績計画を発表した14日以降、株価は急落している。通期の営業利益予想が市場予想を大きく下回り、高い期待値に対して不十分との見方が急速に広がった。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、中計で示された利益目標について「決して低い数字ではない」と指摘した。半面、28年目標として掲げた自己資本利益率(ROE)28.5%が投資家の期待に届かなかったことが株価下落につながったと分析した。ブルームバーグがまとめたアナリスト6人の29年3月期営業利益予想は4547億円。
藤原氏は足元の株価下落について、従来から株価収益率(PER)が高水準にあった反動との見方を示した。その一方で、AI普及を追い風とする中長期的な成長期待は根強いと指摘。今後の株価は、新中計で示した成長戦略の遂行力を市場がどう見極めるかに左右されそうだ。
消費量「爆発的」に
同社の売上高は、AIデータセンター向けの光ケーブルや光コネクタがけん引する。昨年10月には、日米両政府の「戦略的投資に関する覚書」に基づくAIインフラ強化分野で、光ファイバーケーブル供給者に選定された。
岡田直樹社長は記者会見で、米国のデータセンター拡大に伴って、「光ファイバーの消費量も爆発的に増えてくるだろう」との見通しを示した。同社は光ファイバーケーブルの生産能力増強に向け、日米で最大3000億円投資する方針で、投資効果が表れる時期について30年ごろになるとの見方を示した。
ジェフリーズ証券のカルロス・フルヤ氏は英文メモで、AI関連の設備投資拡大を追い風に中期的な事業環境は良好だとした。ただ、サプライチェーン制約の影響や、生産拡大局面で利益率を保てるか不透明感が残るため、現時点では慎重な見方を維持するとした。

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