18日の米金融市場では、S&P500種株価指数が続落した。米国とイランの交渉合意の見通しを巡る強弱入り交じる材料が意識され、株式相場と原油相場は値動きの荒い取引が続いた。

S&P500は小幅安で取引を終えた。同日午後にトランプ米大統領が「19日に予定されていたイラン攻撃を実行しないことにした」とソーシャルメディアに投稿すると、下げ幅を縮小した。

北海ブレント先物は、前週末終値比で2.6%高の1バレル=112ドル前半で取引を終えた。トランプ氏の投稿を受けて、取引終了後には108ドル台前半まで下落している。外国為替市場では、円が対ドルで6日続落。米国債市場では、前週末の急落の流れは一服した。

同日の午前には、米国が和平協議の一環として、イランに科している石油関連の制裁を一時的に免除する案を提示したと、イランの準国営タスニム通信が伝えた。だがその後、米ニュースサイトのアクシオスは、イランが戦争終結に向けた修正案を提示したものの、ホワイトハウスは合意に至るには不十分だと判断していると報じた。

S&P500は一時、前週末終値比でプラス圏に浮上する場面もあったが、その後上昇分を削って下落に転じた。

ベテランのウォール街ストラテジスト、ルイス・ナベリエ氏は、「イラン情勢が解決するまでは、市場の変動性は明らかに高い状態が続く」と指摘した。

その上で、「1カ月後になってもホルムズ海峡での輸送が正常化していなければ、エネルギー価格はほぼ確実に一段と上昇し、それがインフレと金利の上昇につながるだろう」と述べた。

ネーションワイドのマーク・ハケット氏は、市場が再び安心感を取り戻せるかどうかは「原油市場と債券市場が落ち着くこと、一部の大型ハイテク株だけでなく幅広い銘柄に買いが広がること、さらに賃金の伸びが引き続きインフレ率を上回ることを示す材料が出てくることの3点にかかっている可能性が高い」と語った。

シタデル・セキュリティーズのスコット・ルブナー氏によると、ここ数週間に米国株を過去最高値圏へ押し上げてきた大規模な資金流入に、巻き戻しの兆しが出始めている。ルブナー氏は「足元の市場環境では、これまでより慎重に投資する必要がある」と記した。そして、「株高を支えてきた資金流入には一巡感が出ている。加えて、超長期金利の上昇で債券の利回り妙味が増しており、株式市場から資金が流出する可能性もある」と指摘した。

国債

米国債市場では長期債利回りが上昇(価格は下落)。米30年債利回りは約3年ぶりの高水準近辺で推移した。トランプ氏が「19日に予定されていたイラン攻撃を実行しないことにした」とソーシャルメディアに投稿すると、利回りは上昇幅を縮小する場面もあった。

投資家の間では、インフレへの警戒感がある一方で、米国とイランが最終的には戦闘終結に向けた合意で前進するとの期待もある。

30年債利回りはアジア時間に4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、5.16%と2023年以来の高水準を付けた。ホルムズ海峡を巡る対立に打開の兆しがあるとの観測から5.1%まで低下する場面もあった。だが、その後、米ニュースサイトのアクシオスが、ホワイトハウスはイランの最新提案を不十分だとみていると報じると、利回りは再び上昇に転じた。

こうした相場の乱高下は、市場が依然としてイラン戦争の行方に神経をとがらせていることを示している。エネルギー価格と政府の借り入れコストは上昇しており、事態が収束するまでは、インフレや財政悪化への懸念に敏感な超長期債は特に不安定な状況が続きやすい。

BNPパリバの米金利戦略責任者、グニート・ディングラ氏は、「5%を超える水準」で利回り上昇を抑える材料が見当たらないと指摘した。同氏は顧客に対し、米30年債利回りの取引レンジとして5.25~5.5%を想定するよう勧めている。

その上で、「超長期ゾーンの米国債保有者は、以前にも増して価格変動に敏感になっている」と述べた。

外為

外国為替市場でブルームバーグ・ドル指数は6営業日ぶりに下落。ドルは円以外の主要10通貨(G10)に対して全面安となった。米国債急落の流れが一服したことなどが材料視された。

ポンドは対ドルで反発。現時点で、英国の次期首相就任が有力視されているバーナム・マンチェスター市長が、政権を担うとしても、現政府が課している借り入れ制限を変更することはないと明言した。同氏の意向が伝わると、対ドルでポンドは上伸し、英国債は全年限で利回りが低下した(価格は上昇)。

一方で、円は対ドルで6日続落した。バンク・オブ・ナッソー1982のチーフエコノミスト、ウィン・シン氏は、「円は本来もっと強含むべきだと考えてきたが、放漫な財政政策が引き続き重荷となる可能性が高い。追加の為替介入が必要になる公算が大きい」と述べた。

原油

原油相場は3営業日続伸。ホルムズ海峡の通航再開を目指す和平協議を巡り、米国・イラン双方から新たな不透明要因が浮上したことで上昇した。

ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は3%上昇し、1バレル=108ドル台で引けた。北海ブレントは112ドル。

トランプ米大統領は19日にイラン攻撃を予定していたものの、複数の中東諸国からの要請を受けてこれを取りやめたと明らかにした。この発言が伝わった後、原油相場は上げ幅をやや縮小した。

イラン当局は、最新の提案草案は修正されてはいるものの、米国がなお過大な条件を突き付けていると認識している。イラン準国営タスニム通信が伝えた。

こうした表現は、戦争やホルムズ海峡を巡る膠着(こうちゃく)状態がすぐに緩和される状況にないことを示唆している。

原油相場は18日に下落する場面もあった。最終合意に至るまで、イラン産原油に対する制裁を一時免除する案を米国が提示したとタスニム通信が伝えたことが材料視された。

イラン産原油は、トランプ氏が第1次政権時にイラン核合意から離脱して以降、厳しい制裁下に置かれている。

CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「相場を動かしている主因は依然としてニュースの見出しだが、供給混乱の規模にしては市場のストレスは多くの人の想定ほど大きくなく、ファンダメンタルズへの注目が徐々に高まっている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は、前日比3.24ドル(3.1%)高い1バレル=108.66ドルで終了。北海ブレント先物7月限は2.6%上昇の112.10ドルで終えた。

金スポット価格は上げ幅を縮小する展開。エネルギー価格の高止まりで、主要中央銀行の高金利政策が長期化する可能性が意識された。

グレゴリー・シアラー氏らJPモルガン・チェースのアナリストは、金利上昇への懸念から貴金属への新規投資需要は「ほぼ枯渇状態にある」と顧客向けリポートに記した。

需要回復には紛争の解決が重要とした上で、金市場は中銀による購入で支えられる公算が大きいとの見方を示した。

スポット価格はニューヨーク時間午後3時30分現在、前週末比11.35ドル(0.25%)高の1オンス=4551.43ドル。一時は1%近く上昇する場面もあった。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は3.90ドル(0.1%)安の4558ドルで終えた。

欧州

18日の欧州債券市場は、取引終盤に英国債が上げを拡大。英国の次期首相として有力視されるバーナム・マンチェスター市長が現政府の財政規則を尊重する方針を示したことが好感された。

英国債利回りは全年限で7-8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。30年債利回りは8bp低下して5.77%となった。

英国債は朝方には下げ、10年債利回りは2008年以来、30年債利回りは1998年以来の高水準をそれぞれ付けていた。バーナム氏の発言は、同氏が首相に就任すれば政府借り入れが膨らむと懸念する投資家の不安を和らげようとしたとみられる。

ポンドも上伸し、対ドルで他のG10通貨を上回る上昇率を記録した。

株式も上昇。米国がイラン産原油に対する制裁の一時免除を提案したとのタスニム通信の報道を受け、中東の緊張緩和に対する期待が浮上した。

ストックス欧州600指数は0.5%高で取引を終了。朝方には0.9%安となった場面もあったが、切り返した。

タスニムの報道後、アクシオスが米高官の話として、イランの提案は不十分だとホワイトハウスが判断したと報じたが、欧州株は上げを保った。一方、イランのファルス通信は、同国の船舶が米国の封鎖をかいくぐったと伝えた。

5月18日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

原題:Stocks and Oil Whipsaw on Mixed US-Iran Signals: Markets Wrap(抜粋)

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