(ブルームバーグ):米銀JPモルガン・チェースのプライベートクレジット取引は長年伸び悩んできたが、ここにきて勢いを増している。
クレジット取引グローバル責任者サンジェイ・ジャムナ氏とクレジットファイナンス部門グローバル責任者ジェイク・ポラック氏によると、同行が今年取引したプライベートクレジットローンは約20億ドル(約3200億円)相当に達し、これまでの累計を上回った。約20件のローンが売買されたという。両氏は今週パリで開かれたJPモルガンのグローバル市場会議に合わせて取材に応じた。
同行の取引拡大は、プライベートクレジット業界を揺るがす混乱と重なった。信用力への懸念に加え、人工知能(AI)がソフトウエア業界に及ぼす影響への警戒感から、投資家の間で資金返還を求める動きが広がった。ソフト分野はプライベートクレジット運用会社が選好してきた投資先の一つ。解約請求が相次ぎ、償還を制限するファンドも出てきた。

ただ、そうした状況は新たな取引需要を生んだ。ファンド側が大量の解約請求に対応するため、流動性を求めたからだ。今年の取引急増は始まりに過ぎないと両氏はみている。
ジャムナ氏は、「足元の混乱を受け、プライベートクレジット市場の構造変化が加速し、流通市場で取引需要が高まるだろう」と指摘した。
米金融業界で最大級のローン取引部門を擁するJPモルガンでは以前から、プライベートクレジット市場が公募債市場のように価格透明性を高めながら発展していくとの期待が幹部の間で強かった。同行は3年以上前から、ファンドに流通市場での取引仲介を提案してきたが、需要はなかなか広がらなかった。

その一因は、この10年で市場規模が急拡大する中、この分野が大きな混乱を経験してこなかったことにある。取引を活発化させる重要な要因を欠いていた。
さらに、一部のファンド運用会社は長年、この市場での取引を敬遠してきた。ローン評価額をより頻繁に見直す必要性が生じるためだ。こうしたプライベートクレジット運用は、公開市場の時価変動に左右されにくいと考えられてきた。
また、プライベートクレジットでは、需給や価格情報が広く共有されている公募債市場とは異なり、手間のかかる対応が求められる。
ポラック氏は「単に画面上に情報を載せれば済む仕事ではない」とし、「売り手と買い手双方に加え、スポンサー側の承認を得るため、電話やフォローアップが欠かせず、人手がかかる」と語った。
この分野の運用側にとっては安心材料となりそうだが、これまでの取引の大半は額面1ドル当たり90セント超で成立したという。投資家の不安はあるものの、大幅な値崩れには至っていない。
原題:JPMorgan Private-Credit Trading Push Takes Off After Slow Start(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.