TDKは今期(2027年3月期)に過去最大の設備投資を行い、人工知能(AI)関連需要の急拡大に備える構えだ。斎藤昇社長は「中長期の成長に向けた種をまいておかないと刈り取りができない」と述べ、積極投資を続ける可能性にも言及した。

TDKの今期の設備投資額は3700億円の計画で、過去最高となった前期(2986億円)に比べ24%増の水準だ。斎藤氏はブルームバーグのインタビューで、投資は稼ぎ頭の電池のほか、AI関連向けのハードディスクドライブ(HDD)部品や積層セラミックコンデンサー(MLCC)などに振り向ける方針で、「ロングタームで見て、そこからバックキャストして今やるべき投資」を積み上げた結果だと強調した。

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

多様な事業構造の中で「他のセグメントでチャンスが出てくれば適宜投資をしていく方向性には変わりがない」とし、必要があればためらいなく投資すると述べた。ただ「この規模感がずっと続くかどうかは明言はできない」という。

TDKは同社のさまざまな製品が恩恵を受けるAI市場を主戦場と定め、設備投資を進める。次世代の記録技術である熱アシスト磁気記録に対応したHDD部品の投資もその1つで、2年後ぐらいの量産を目指す。来年3月までの3年間の設備投資計画は当初7000億円だったが、2回の上方修正を経て9000億円に引き上げていた。

東洋リサーチアドバイスの安田秀樹アナリストは、TDKの今期の設備投資規模について「数字は驚異的だが、AI時代における事業拡大の機会を踏まえれば極めて前向き」だと評価する。一方で、「株主への即時還元に充てられるフリーキャッシュフローには一定の犠牲が伴う」とも述べた。

斎藤氏は今後成長が見込まれる事業として、半導体製造装置と半導体接合材料を挙げた。特に接合材料はナノコンポジット微粒子材料を業界で初めて量産化する計画で、「消費電力の削減に貢献できるのではないかと思っている」と期待を込めた。ワイヤーやリードフレームを使わず、シリコンチップを基板に直接接続する装置の受注も旺盛だという。

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