(ブルームバーグ):フランスの極右政党、国民連合(RN)の財務責任者が、欧州各地で資金調達先を探している。マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる同党は、2027年のフランス大統領選に向けた世論調査で首位に立ち、政権奪取も視野に入れるRNだが、1070万ユーロ(約19億7800万円)の借入金については、国内でひとつの貸し手も確保できていない。
RNの財務責任者、ケビン・フェファー氏(35)は、ブルームバーグとのインタビューで「フランスの銀行を始めあらゆる相手に打診してきたが、これまでのところ返答は否定的か、全くないかのどちらかだ」と明かした。
フェファー氏によると、ソシエテ・ジェネラルとラ・バンク・ポスタルはすでに融資を拒否し、他の金融機関も求めに応答していない。同氏は、フランスの銀行からの資金調達は難しいとみている。
長年にわたりフランス極右を政治・金融の主流から遠ざけてきた「コルドン・サニテール(防疫線)」を打破し、これまでの「のけ者」としての立場を脱しようと、RNは資金集めに奔走している。創設者でルペン氏の父ジャンマリー・ルペン氏に結びつけられる激しい人種差別や反ユダヤ主義のイメージが根強い中でも、RNは選挙基盤と存在感を着実に拡大してきた。国内での資金調達が実現できれば、体制側からの受容を示す明確な指標となる。
欧州の極右政党が選挙面での正統性を高める一方、金融機関はなお慎重な姿勢を崩していない。
フランスの銀行はレピュテーション(評判)リスクや規制リスク、財務リスクを理由に、政治向け融資そのものから距離を置こうとしている。資金調達の難しさはRNに限ったものではないように見えるが、長年の取引関係を持つ既成政党と異なり、RNは引き続き、選挙に必要な資金の確保に苦戦している。
評判リスク
RNは2014年、チェコのロシア系銀行から融資を受けたが、その後フランス当局は候補者に対し、欧州外に本拠を置く金融機関からの借り入れを禁じた。
2022年の大統領選では、RNはハンガリーの銀行MKBから年利8%で資金を確保した。フェファー氏は、ハンガリーのオルバン首相(当時)との近い関係により、MKBの取締役会にアクセスできたと認めつつ、実際に資金を得るまでには度重なる訪問と困難な交渉が必要だったと述べた。
オルバン氏はすでに大統領職を退いたが、フェファー氏はハンガリーで新たな融資を模索しているほか、ドイツ、スペイン、イタリアでも人脈を活用しているという。フェファー氏は「貸してくれる銀行が見つかるなら、どこへでも行く」と語った。
選挙資金の融資は、選挙後に支払われる公的補助金が入るまでのつなぎ資金として機能する。事情に詳しい関係者によると、フランスの一部銀行は消費者向けローンに近い、約4%の金利を提示しており、返済期間は1年以内が一般的だ。
ストラスブール・ビジネススクールで政治資金を研究するアベル・フランソワ教授(経済学)は、「RNの資金調達の難しさは評判の問題に起因している。議論を呼ぶ評判は同党の歴史や、程度の差はあれ過去から続く立場に由来するものだ」と語る。
ルペン氏が自身の横領疑惑を巡る控訴審の結果を今夏に控えており、資金調達の不確実性は一段と高まっている。公職就任を禁じる判決が維持された場合、後継と目されるバルデラ党首が大統領選候補となる見通しだ。
選挙資金の融資は政党ではなく候補者名義で行われるため、資金調達は判決後でなければ実現しない可能性もある。事情に詳しい関係者によると、主流政党も融資を確保する前に、候補者の最終決定を待っているという。
バルデラ氏に対しても、欧州連合(EU)の検察当局は、同氏や欧州議会議員が受けたメディア研修に関連し、EUの資金が不正流用された可能性について調査している。
フェファー氏は、RNが現在約800万ユーロある負債を、来年3月までにゼロに削減することを目指していると語った。一方、事情に詳しい関係者によると、マクロン大統領が属するルネサンスは、パリ本部の売却により数千万ユーロの資金を確保し、大統領選資金を借り入れなしで賄えるとみられている。
原題:Le Pen’s Party Searches Europe for Loans After French Banks Balk(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.