憲法改正「時はきた」のか? 世論は「改正すべき」「すべきでない」がほぼ拮抗

「立党から70年。時は来ました。憲法改正に向け、党員・党友の皆様の総力を挙げて、全国各地で国民の皆様への憲法に関する説明を行うとともに、国会においては、決断のための議論を進めてまいりましょう。そして、改正の発議について、なんとか目途が立ったと言える状態で、皆様とともに、来年の党大会を迎えたいと考えています」(4月12日自民党大会にて)

高市総理のこの発言は、ここ数年の憲法改正をめぐる歴代総理の発言では一番踏み込んだのではないか。現職総理が憲法改正の発議について「期限」を口にしたのは異例といえる。

一方で、国民的な改正機運は盛り上がっているだろうか。
今回の世論調査で憲法改正すべきかどうか聞いたところ、「改正すべき」は45%、「改正すべきではない」は40%とほぼ拮抗している。与党支持層では6割が「改正すべき」と答えている。

こちらも男女別、年代別で分析するとやや特徴があり、例えば男性のほうが「改正すべき」の割合が高く、50代を境に年齢があがるにつれ「改正すべきではない」割合が増えてくる。一方、30代未満の有権者もやや「改正すべきではない」が上回っていることも付しておきたい。

現在“改憲の入口”として衆議院で議論が進むのが、大規模災害などの緊急時に国会機能を維持するための「緊急事態条項」だ。有事の際に国会議員の任期を延長することや、内閣が法律と同等の効力を持つ命令を一時的に定めて対応できる「緊急政令」を指すが、政府の権限が強化され権力乱用の可能性があるとして野党や有識者から異論があがっている。

一方、参議院側は「1票の格差」是正のため、隣り合う県を1つの選挙区にまとめた「合区」の見直しが優先テーマとして進められていて、与野党だけではなく衆参の足並みがそろっていない。

さらに世論調査では「改憲すべき」と答えた人のうち、最も優先してかえるべき項目は何か聞いたところ「緊急事態条項」でも「合区の解消」でもなく「自衛隊を憲法に明記するなどの憲法9条の改正」のほうだった。こちらも政治と世論には乖離がある。与党側は争点の多い9条よりもまずは議論の比較的少ない緊急事態条項や合区の解消を優先させたい狙いがあるようだ。

ただ憲法というのはそもそも国民が、国(権力)の暴走を縛るためのルールであることを考えれば、権力側が自身の権限を強化する改憲項目を優先させることに違和感がぬぐえない。また野党第一党の中道改革連合が先の衆院選で大敗を喫したことで野党の存在感が薄れ、これまでの憲法審査会で主要野党が主張してきた「衆議院の解散権の制約」や「臨時国会の召集ルール」は目立たなくなった。国家の理想のあり方を明文化した国民のための憲法であるからこそ、さらなる国民的議論の醸成が政治側には求められる。

TBS政治部・世論調査担当デスク 室井祐作