(ブルームバーグ):ソニーグループは8日、今期(2027年3月期)営業利益の計画を前期比11%増の1兆6000億円と発表した。中東情勢を受けメモリー価格高騰や不足が深刻化する中、影響を最小限に抑える対策を講じ、ゲームや半導体では増益を見込む。
また、同社は5000億円を上限とする自己株取得も発表した。陶琳最高財務責任者(CFO)は同日の決算説明で「戦略投資実行しながらも還元の余力ができた」と述べた。設定した戦略投資枠1.8兆円のうち、すでに1兆円超を実行したという。
ゲーム事業はハードウエアの販売台数の減少によって減収となるが、ネットワークサービスの増収や為替の好影響で、営業利益は前期比30%増を見込む。半導体事業の営業利益は同12%増を計画。前期に計上した構造改革費用の反動や、スマートフォン向けイメージセンサーの増収などが寄与する。設備投資を抑える目的でTSMCとの戦略的提携も公表した。
ソニーG株は、一時7.3%高と2月27日以来の日中上昇率を付けた後、同0.5%安の3114円で同日の取引を終了した。
メモリーの高騰はゲームをはじめ同社のさまざまな事業に影響する。プレイステーション5(PS5)のハード販売は、合理的な価格で調達可能なメモリー数量に基づく台数を計画。十時社長は、2026年については必要な数量はほぼ確保しており、メモリー価格高騰のコストについては織り込み済みと説明。ただ、今の状況だと「2027年も価格が高いまま、需給がひっ迫したまま」になるとの見方を示した。
またデジタルカメラなどを抱えるエレクトロニクス事業では、調達や設計などで対策を講じ、今期営業利益見通しへの影響を300億円程度まで抑制する計画だ。

東洋リサーチアドバイスの安田秀樹アナリストは、今期のゲーム事業はPS5のハード販売が減るのでコストにはプラスに働くのに加え、ゲームやネットワークの売り上げ貢献の上昇も見込めるとの見方を示した。
今後の焦点の一つは、次世代機の開発だ。家庭用ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」は発売から約5年半が経過し、今期見通しには次世代プラットフォームに向けた投資の増加を織り込む。同日の決算説明会で十時裕樹社長は、長期的視点では「ゲームコンテンツにエボリューション(進化)が必要」と指摘し「それはAI(人工知能)が起こしてくれる可能性は十分にある」述べた。
前期営業利益の実績は、前の期比約13%増の1兆4475億円だった。ゲーム子会社傘下の米ゲーム開発企業で1201億円の減損損失に加え、ソニー・ホンダモビリティの電気自動車(EV)モデル発売中止などで449億円の追加損失を計上したものの、半導体事業や音楽分野が好調で全体では増益を確保した。
ソニー・ホンダモビリティについては、26年度の業績見通しでも追加損失300億円を見込んでいるが、この一部は事業縮小による経常的費用の減少で相殺される見通し。十時社長は、負担については総合的に判断しているとした上で「ホンダに賠償請求のようなことをすることはない」と話した。

(説明会の内容を追加し、株価を更新しました。)
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