非商業筋の動きを子細に見ると、円ショートは投機的とは言えない
4月30日以降、断続的にドル円相場が下落する(円高が進む)局面が散見されており、為替介入が実施されている可能性がある。財務省が円買い介入を決めた背景として、非商業筋のポジションが円ショートに傾いていることから、投機的な動きを抑制することが目的という説明が散見される。もっとも、非商業筋の内訳をみると、25年末くらいから積極的に円ショートの方向にポジションを傾けてきたのはアセットマネージャーである。このアセットマネージャーのポジションは、日銀がサプライズ的な利上げを行った24年夏以降に一貫してロングに傾いていた。また、この間は実際に円安圧力が弱くなっていたことから、貿易赤字が縮小傾向だったことも重要だろう。すなわち、貿易収支といったマネーフロー、中央銀行の政策スタンス(金利差)といったファンダメンタルズに則した理由で、円ショートに傾いてきたと言える。これは、投機的な動きとは言えないだろう。
他方、より短期的な取引が多いとみられるレバレッジドファンドについては、25年後半から円ショートが増え、26年1月には大幅な円ショートとなっていた。その後、1月下旬の日米協調レートチェック後に円の買い戻しが進み、3月までは横ばい圏の動きだった。4月に入ってから再び円ショートが積み上がってきたが、これは株価の上昇に合わせた動きと言えそうである。すなわち、リスクオンによる円キャリートレードの復活が、レバレッジドファンドの円ショートの背景と言える。円キャリートレードは円金利が相対的に低い状態で、市場におけるリスク選好が強くなることで生じやすい。円金利が低いことは日銀のスタンスに起因したものであると言え、リスクオンは世界的に生じている。レバレッジドファンドの動きも、ファンダメンタルズに沿った動きと言え、投機的な動きと断じることはできないだろう。
足元の円安圧力は、日銀(政権)が利上げに消極的なことに起因した動きと言え、それを為替介入によって止めるという動きは、マッチポンプ的であると言える。根本的な円安要因は改善されていないという見方から、円売り圧力は続くだろう。筆者は、年後半にFRBが利下げを再開すると予想しており、年末にはドル安・円高方向にトレンドが転換すると予想している。しかし、それまでは円安が進むリスクが高い。
(※情報提供、記事執筆:大和証券 チーフエコノミスト 末廣徹)