戦闘終結の期待で、「株高⇒景気回復」の可能性がやや高まった
5月6日の米国株式市場は、米国とイランの戦闘終結への期待が高まり、株価が上昇した。きっかけは、米国がイランとの戦闘終結に向けた覚書を用意しているという米ニュースサイトのアクシオスの報道だった。これまで堅調だったハイテク株・半導体関連株に限らず幅広い銘柄の株価が上昇した。
この日は原油価格も大幅に下落し、WTI原油先物価格は前日から7%程度下落し、95.08ドルとなった。戦闘終結によって原油価格が一段と下落すれば、株式市場では物色に広がりがみられるだろう。株式市場全体が強気化すれば、景気に対する楽観論も広がり、個人消費なども上向く可能性がある。むろん、その場合はFRBの利下げ観測が後退することが予想され、金利の高止まりが米株の上値を抑えることになる。年末にかけて高値圏で横ばいといった推移になる可能性が高い。
「株高⇒景気回復」の期待が高まると長期金利は高止まりへ
5月6日の債券市場は、原油価格が下落したことで、FRBの利上げ観測が後退した。長期金利は前日差▲7.5bp、2年金利は同▲7.4bpだった。このところ(小幅ながらも)利上げ観測が再び台頭していたことから、債券市場は原油価格の下落をストレートに好感した格好である。もっとも、戦闘終結に向けて株式市場などでリスクオンが進んでいることから、利下げ観測は高まり難いだろう。仮に株高が個人消費を加速させるようなことになれば、利下げ不要論が長期化する可能性が高い。この日に公表された4月のADP雇用統計は堅調な結果だった。5日に公表された3月のJOLTS統計でも採用件数が増加するなど、労働市場の回復を期待させるものだった。労働市場はコロナ後の人手不足状態から正常化する動きによって需給が悪化してきたが、米経済がリセッションに向かう兆しはほとんどないため、労働市場の悪化傾向も一巡する可能性が高い。今後の労働市場は低位安定となる可能性が高いことから、賃金インフレといったタカ派方向の警戒をする必要はないとみられるが、FRBの利下げ観測は高まり難い状況が続きそうである。昨年と同様に、株高が起点となって金利が下がりにくい展開に向かっているように思われる。