米30年債利回りは今週に入って昨年7月以来となる5%の節目を突破した後も、同水準前後で推移しており、世界最大の債券市場における圧力がなお弱まっていないことを示唆している。

同利回り5%は特に重要な意味を持つ節目であり、トレーダーはこの水準がさらに切り上がる兆しがあるか注視している。米政府の財政や拡大する債務の利払い負担に対する懸念が一段と強まりかねないためだ。また、他の金融市場や実体経済にも大きな影響を及ぼし、住宅ローン金利の上昇や消費者への打撃につながる可能性がある。

ニューヨーク時間5日午前11時過ぎの時点で、同利回りは5%で推移。4日に5.03%と7月以来の高水準を付けた。

利回りが高止まりしている背景には、ホルムズ海峡の封鎖が続く中で原油価格が上昇し、新たなインフレ懸念や利下げ観測の後退につながっていることがある。加えて、企業による人工知能(AI)への巨額投資が相次いでおり、短期的に物価上昇が加速するとの不安も高まっている。

ブラックロック・インベストメント・インスティテュートのポートフォリオ・リサーチ世界責任者兼英国担当チーフ投資ストラテジスト、ビベック・ポール氏は、「金利はより長くより高い水準にとどまる、あるいは利下げ回数はそれほど多くならないとの見方が強まっており、債券はリプライシングが進んでいる。それは合理的な動きだ」とブルームバーグテレビジョンで述べた。

さらに、2月28日の戦争勃発前の経済指標も、世界的にインフレが想定ほど速いペースで鈍化していないことを示しているほか、米経済は引き続きおおむね健全な状態にあるとし、「あらゆる兆候が、市場がこれまで想定してきたよりも高いインフレを示している」とポール氏は続けた。

オールスプリングの債券担当シニアポートフォリオマネジャー、アンリエッタ・パックマン氏は、利回りは投資家にとって「興味深い」水準に達しつつあるとしながらも、米国債の中期ゾーンを選好しているという。

「長期ゾーンについては、デュレーションの影響からボラティリティーの高まりを見込んでいる。実際にかなり慎重な姿勢を取っている」と語った。

その上で、中東の石油インフラが追加的な損害を受けるなどエネルギー供給の混乱が拡大すれば、利回りは足元のレンジを上抜ける可能性があると、パックマン氏は指摘。米国でAI主導の成長が一段と強まれば、中央銀行の対応を招き、利回りを押し上げる要因となり得ると付け加えた。

四半期定例入札

債券トレーダーは中東情勢の混乱を注視する一方、6日に発表される米政府の四半期定例の国債発行計画に目を向けている。同計画は通常、7月までの国債(中長期債)の入札規模の見通しを示す。

2月の前回発表では、「少なくとも今後数四半期は」入札規模を据え置くとの見通しが改めて示されたが、投資家やストラテジストの間では、より早期の増額が必要となる可能性があるため、ガイダンスが変更されるとの見方が出ている。

ヴェリブ・ペンション&リブスフォルシクリングのチーフストラテジスト、フレデリック・ロムダール氏は「タイミングの観点からすると、米国のリファンディングの週に利回りが5%の節目を上回っているのは興味深い」と語った。

原題:US Bond Yield at 5% Highlights Mounting Pressure in Market (1)(抜粋)

--取材協力:James Hirai、Georgia Hall.

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